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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

23-42 腎臓の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。

(1)腎小体は、糸球体と尿細管からなる。
(2)糸球体では、アミノ酸は濾過されない。
(3)ヘンレ係蹄は、遠位尿細管と集合管の間に存在する。
(4)糸球体で濾過された水分は、約50%が尿細管で再吸収される。
(5)1本の集合管には、複数の尿細管が合流する。

(1)× 腎臓を構成する機能単位をネフロンという。ネフロンを構成している成分の名前について整理しておこう。まず、「糸球体」。糸球体の実態は毛細血管である。毛細血管が糸くずのように丸まっていて、ここを血液が通過するうちに濾過が行われる。次に、「ボウマン嚢」。ボウマン嚢は糸球体を包んでいる袋状の構造をしている。糸球体で濾過された濾液(原尿)を受け止める袋で尿細管につながっている。糸球体とボウマン嚢を合わせて「腎小体」と呼ぶ。1つの腎小体と1本の尿細管をネフロンという。ネフロンは一側の腎臓に約100万個存在する。

(2)× 糸球体を構成する毛細血管には、基底膜というコラーゲン線維でできた薄い膜がある。基底膜には小さな穴が置いており、水、グルコース、アミノ酸、電解質、尿素、クレアチニンなど小さな分子は自由に通過することができる。しかし、タンパク質、リポタンパク質、血球など大きな粒子は通過することができない。これをサイズ・バリアという。また、アルブミンなどタンパク質は血液中で負に帯電しており、基底膜も負に帯電しているので反発しあい通過しない。これをチャージ・バリアという。

(3)× 1つの腎小体からは、1本の尿細管が出て、集合管につながっている。腎小体は腎臓の皮質に存在するが、尿細管は皮質から髄質に下降し、再び皮質に戻って集合管に接続する。尿細管はその場所により3つに部分に区分される。腎小体に近い部分を「近位尿細管」、近位尿細管に続いて髄質にループ状に垂れ下がった部分を「ヘンレ係蹄」、ヘンレ係蹄に続いて集合管に接続するまでを「遠位尿細管」という。腎小体→近位尿細管→ヘンレ係蹄→遠位尿細管→集合管の順番を覚えておこう。

(4)× 尿細管の機能をまとめておこう。近位尿細管では糸球体で濾過された水と電解質の約80%とグルコース、アミノ酸、ビタミンなど有用物質の大部分が再吸収される。ヘンレ係蹄、遠位尿細管では残りの水と電解質の大部分が再吸収される。酸や老廃物は濾過されるだけでなく尿細管からの分泌によって排泄される。水は集合管でさらに再吸収されて尿は濃縮され、最終的には糸球体で濾過された水と電解質の99%が再吸収され、残りの1%が尿として体外に排泄される。
 1日の尿量を約1.5Lとすると、約1%が尿として排泄されるのだから、糸球体濾過量は1.5×100で約150L/dayとなる。さらに、糸球体を通過する血液の約10%が濾過されるので、腎血流は150×10で約1500L/dayとなる。

(5)○ 複数の遠位尿細管が合流しつつ、集合管は皮質から髄質に下降し、腎乳頭(腎杯)に開口する。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2009-08-22 11:31 | 第23回国家試験 | Comments(0)