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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

23-47 骨粗鬆症の成因に関する記述である。誤っているのはどれか。

(1)甲状腺機能亢進症
(2)クッシング症候群
(3)糖尿病
(4)副甲状腺機能低下症
(5)長期臥床

 骨粗鬆症とは、「骨強度」が低下し、その結果「骨折の危険性」が高まった状態をいう。骨強度を決める要因には、「骨密度」の低下と「骨質」の変化が関わっている。骨密度の低下は、沈着するリン酸Caの量と基質になるタンパク質の比率が大きく変化せずに減少するもので、骨強度の70%程度を説明するとされている。骨質の変化は、骨の微細構造の変化、骨代謝回転、石灰化度などが関与している。
 骨粗鬆症の成因は、原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症の2つに分類される。原発性骨粗鬆症は、閉経後骨粗鬆症、男性骨粗鬆症、特発性骨粗鬆症の3つに分類される。もっとも多いのは閉経後骨粗鬆症で、女性ホルモンの急激な減少で骨吸収が亢進することが原因である。男性骨粗鬆症は、従来男性ホルモンの減少が関与していると考えられていたが、近年、男性でも女性ホルモンの欠乏が骨粗鬆症に関与していることが明らかになった。特発性骨粗鬆症は、原因不明のまれなもので、若年者や妊娠後に出現する。
 続発性骨粗鬆症の原因を以下に列挙する。
①ステロイド性:クッシング症候群、ステロイド製剤長期投与
②不動性:長期臥床、宇宙飛行
③内分泌性:甲状腺機能亢進症、性腺機能不全、副甲状腺機能亢進症
④炎症性:関節リウマチ
⑤肝胆道系疾患:原発性胆汁性肝硬変
⑥消化管疾患:胃切除後、吸収不良症候群
⑦栄養・代謝障害:ビタミンC不足、糖尿病
⑧先天性結合組織疾患:骨形成不全症、マルファン症候群
⑨その他:薬剤性

(1)○ 甲状腺ホルモンは、骨芽細胞を介して破骨細胞を活性化し、骨吸収を促進する作用がある。よって、甲状腺機能亢進症では、骨粗鬆症が出現する。

(2)○ クッシング症候群は、副腎皮質ホルモンを過剰分泌する疾患である。副腎皮質ホルモンが長期間作用した骨芽細胞は活性が低下する。また、骨芽細胞を介して破骨細胞が活性化され、骨収吸収が促進する。よって、クッシング症候群では、骨粗鬆症が出現する。

(3)○ インスリン欠乏による骨芽細胞の活性低下、高血糖により、尿中Ca排泄が増加する。よって、糖尿病では、骨粗鬆症が出現する。

(4)× 副甲状腺(または、上皮小体ともいう)が分泌するパラソルモンは、破骨細胞を活性化して骨吸収を促進する。よって、甲状腺機能亢進症で、骨粗鬆症が出現する。

(5)○ 骨は、使わないと減少する。宇宙飛行士にとって、骨粗鬆症対策は大事だ。長期臥床でも、骨への重力不足により、骨密度が減少する。

正解(4)
by kanri-kokushi | 2009-08-28 15:14 | 第23回国家試験 | Comments(0)