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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

22-23 糖質に関する記述である。正しいのはどれか。

(1)ケトースは、アルデヒド基を持つ。
(2)天然の糖質は、D型よりもL型の光学異性体が多い。
(3)セルロースは、α-1,4-グリコシド結合を持つ。
(4)アミロースは、α-1,6-グリコシド結合を持つ。
(5)グリコサミノグリカンは、二糖の繰返し構造を持つ。

(1)× 糖質は、炭素(C)と水素(H)と酸素(O)の化合物である。化学式はCn(H2O)nで、炭素に水がくっついているように見えるので炭水化物ともいうが、本当に炭素に水がくっついてできているわけではない。官能基としてアルデヒド基(CHO)をもつ糖質をアルドース、ケトン基(C=O)もつ糖質をケトースという。官能基とは、炭素化合物の化学的性質を決める原子団である。

(2)× 化学名の前には、DとLが付いていることがある。Dは右(Dexter)、Lは左(Laevus)のこと。右手と左手を見てみよう。まったく同じように見えるが、指と手のひらは鏡に映した位置関係で、立体的に重ね合わせることはできない。このように構造が鏡像の関係にあるものを光学異性体という。生体に存在する糖質はほとんどすべてD型である。ちなみに、アミノ酸にも光学異性体があり、タンパク質を構成するアミノ酸はすべてL型である。

(3)× 多糖類は、単糖類が数珠つなぎになって生成する。単糖類と単糖類のつなぎ目のことをグリコシド結合という。単糖類の1番目の炭素と、次の単糖類の4番目の炭素が結合することを1,4-グリコシド結合という。1番目の炭素に結合している水酸基の位置によりαとβの2種類がある。これをアノマーという。このため、グリコシド結合にはα-1,4-グリコシド結合とβ-1,4-グリコシド結合がある。セルロースは、β-1,4-グリコシド結合でグルコースがつながっていく。ちなみのでんぷんやグリコーゲンはα-1,4-グリコシド結合でグルコースがつながっている。糖質を分解するアミラーゼはα-1,4-グリコシド結合を切断することができるが、β-1,4-グリコシド結合を切断することはできない。よって、食物繊維はアミラーゼによって分解されない。

(4)× でんぷんにはアミロースとアミロペクチンの2種類がある。アミロースは、グルコースがα-1,4-グリコシド結合で直線状に結合したもので、枝分かれしない。一方、アミロペクチンもグルコースがα-1,4-グリコシド結合でつながるが、ときどきα-1,6-グリコシド結合で枝分かれする。よって、α-1,6-グリコシド結合をもつでんぷんはアミロペクチンである。

(5)○ 糖にアミノ酸が結合したものをアミノ糖という。単糖類のアルデヒド基の反対側の端にある水酸基がカルボキシル基になったものをウロン酸という。アミノ糖とウロン酸が、交互に数珠つなぎになったものをグリコサミノグリカン(またはムコ多糖類)という。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2009-09-08 15:39 | 第22回国家試験 | Comments(0)