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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

22-29 たんぱく質の合成・分解に関する記述である。正しいのはどれか。

(1)プロテアソームは、たんぱく質分解酵素の複合体である。
(2)プロトロンビンは、トロンビンから生成される。
(3)ユビキチンは、たんぱく質合成に関与する酵素の1つである。
(4)トリプシンによるたんぱく質分解は、ATPに依存する。
(5)分泌たんぱく質は、細胞膜表面で合成される。

(1)○ プロテアソームとは、タンパク質の分解を行う巨大な酵素複合体で、細胞質に存在している。細胞内で生成したできそこないのたんぱく質など、細胞にとっていらないタンパク質にはユビキチンが結合する。ユビキチンもタンパク質である。いらないものにラベルを張っていると思えばよい。ユビキチンを張られたたんぱく質は、プロテアソームで分解される。正確な表現ではないが、ドラム缶のような形をしたプロテアソームの中に、ユビキチンでラベルされたたんぱく質を取り込んで分解すると思えばよい。ちなみに、プロテアソームでのタンパク質分解は、ATP依存性で、エネルギーを必要とする。

(2)× 「プロ・・・」は「・・・」の前駆体という意味である。だから、プロトロンビンからトロンビンが生成されるというのが正しい。ちなみに、トロンビンはフィブリノーゲンからフィブリンを生成し、血液を促進する。

(3)× (1)で説明したとおり、ユビキチンは細胞内のいらないタンパク質に結合する。このタンパク質を分解してくださいという目印というか、ラベルだと思えばよい。よって、タンパク質分解に関与するタンパク質である。ちなみに、ユビキチンは酵素ではない。

(4)× トリプシンは、タンパク質のペプチド結合を加水分解してより小さなペプチドやアミノ酸を生成する。つまり、大きな分子を小さな分子にする。一般に、大きな分子が小さな分子になるときはエネルギーが放出される。よって、トリプシンによるタンパク質分解はATPに依存しない。ATP依存性のタンパク質分解は、ユビキチン-プロテアソーム系で起こる。

(5)× 分泌タンパク質は、粗面小胞体で合成される。粗面小胞体のリボソームでmRNAから翻訳されて生成したペプチドは小胞体内に蓄積される。小胞体は、ゴルジ装置を経て分泌顆粒になる。この間に分泌タンパク質の修飾・濃縮が行われる。細胞に分泌刺激が与えられると、分泌顆粒は細胞膜と融合し、内容物を細胞外に放出する。これをエクソサイトーシスという。

正解(1)
by kanri-kokushi | 2009-09-21 18:36 | 第22回国家試験 | Comments(0)