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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

24-40 循環障害に伴う病態に関する組合せである。正しいのはどれか。

(1)腎動脈狭窄 - 本態性高血圧
(2)右心不全 - 肺水腫
(3)深部静脈血栓 - 肺塞栓
(4)心筋壊死 - 狭心症
(5)粥状動脈硬化 - 糖尿病網膜症

(1)× 腎動脈に狭窄が起こると、腎臓への血流が減少する。腎臓への血流が減少すると傍糸球体装置からレニンが分泌される。レニンは、血液中を流れているアンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンⅠに変換する。アンギオテンシンⅠは、アンギオテンシン変換酵素によりアンギオテンシンⅡになる。アンギオテンシンⅡは、副腎皮質を刺激してアルドステロンを分泌させる。アルドステロンは、尿細管のNa再吸収を促進して体液量を増やす。また、アンギオテンシンⅡは、直接血管に働いて収縮させる。これらの結果、血圧が上昇する。これを腎血管性高血圧という。本態性高血圧とは、原因不明の高血圧という意味である。

(2)× 心不全は、心拍出量の減少による症状と、静脈系のうっ血による症状を考えればよい。右心不全は、右心室から血液が十分に押し出されないので、肺に行く血液が減少し、全身の静脈系にうっ血が起こる。よって、肺水腫は、起こらない。左心不全は、左心室から血液が十分に押し出されないので、全身に行く血液が減少し、肺の静脈にうっ血が起こる。これが肺水腫である。

(3)〇 ある場所にできた血栓がはがれて、血流にのって流れて、別の場所の血管に詰まることを塞栓という。はがれた血栓が詰まるのは、血栓がはがれた場所の血管より細い血管に入っていったときに起こる。静脈は、一般に心臓にたどり着くまでは合流しながらだんだんと太い静脈になる。よって、深部の静脈にできた血栓がはがれた場合、心臓までは引っかかることはない。血栓は右心房、右心室を通って肺動脈に入る。肺動脈は、分岐しつつ次第に細くなる。ここで血栓が詰まる。よって、肺梗塞が起こる。代表例は、エコノミー症候群である。長時間、窮屈な座席に座っていると、下肢の血流が停滞して血栓ができる。それがはがれて肺梗塞を起こす。飛行機に乗るときは、定期的に足を動かして血栓ができるのを予防しよう。

(4)× 心臓の筋肉を栄養する冠状動脈の閉塞により狭心症と心筋梗塞が起きる。梗塞とは、血流が途絶えたために組織が酸素不足となり、細胞に壊死が起こることをいう。一方、狭心症は、一過性の虚血により起こるもので、組織の壊死は起こらない。

(5)× 粥状動脈硬化症は、大きな血管の内膜にコレステロールが沈着して起こる。糖尿病の合併症として起こりやすく、大血管障害(macroangiopathy)という。糖尿病網膜症は、糖尿病腎症、糖尿病神経障害とともに糖尿病の細小血管症(microangiopathy)といわれているものである。

正解(3)
by kanri-kokushi | 2011-02-07 18:35 | 第24回国家試験 | Comments(0)