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臨床栄養学

24-146 敗血症による全身性炎症反応症候群(SIRS)の所見についての記述である。正しいのはどれか。
(1)血液の細菌培養陰性
(2)C反応性たんぱく質(CRP)陰性
(3)末梢血管抵抗の上昇
(4)末梢循環不全
(5)多尿

 全身性炎症性反応症候群(systemic inflammatory response syndrome , SIRS)とは、侵襲に対応して、免疫細胞が血中に放出した大量の炎症性サイトカインによる全身性の急性炎症反応である。細菌感染によってSIRSが引き起こされている状態を、敗血症という。

SIRS診断基準
①体温38℃以上あるいは36℃以下
②心拍数90/分以上
③呼吸数20/分以上あるいは動脈血二酸化炭素分圧32mmHg以下
④白血球数12,000/mm2以上あるいは4,000以下あるいは未熟顆粒球10%以上
の4項目うち2項目以上を満たすもの

(1)× 敗血症は、以前は血液中に細菌が侵入して全身にばらまかれる状態と考えられて、血液の細菌培養陽性のものを敗血症としていた。ただし、現在は、SIRSの原因として細菌感染があればよく、血液の細菌培養陽性は必須項目ではなくなっている。もちろん、陽性であってもよい。

(2)× CRPは、炎症組織のマクロファージから分泌されたサイトカインが肝細胞に働いて産生される急性期反応タンパクの一つである。肺炎双球菌の細胞壁のC多糖体と沈降反応を起こすことから、C反応性タンパク質とよばれる。よって、感染による炎症があれば陽性になる。

(3)× サイトカインの作用で末梢血管は拡張するので、末梢血管抵抗は低下する。その結果、血圧が低下し、重症の場合はショックに陥る。

(4)〇 血圧が低下すると、それを補おうとして心拍出量が増加し、心拍数も増加する。しかし、やがて、心拍出量は低下し、末梢循環不不全に陥る。

(5)× 末梢循環不全の結果、腎血流量が減少し、糸球体濾過量が減少し、尿量が減少する。よって、SIRSでは、乏尿・無尿になる。

正解(4)
by kanri-kokushi | 2011-03-16 15:36 | 第24回国家試験 | Comments(0)