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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

25-41 透析に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)最近のわが国では、腹膜透析患者が血液透析患者より多い。
(2)物質除去能率は、腹膜透析が血液透析より高い。
(3)たんぱく質喪失量は、血液透析が腹膜透析より多い。
(4)腹膜透析では、透析液のブドウ糖が生体に移行する。
(5)血液透析の多くは、自宅で施行されている。

(1)× 透析治療の現状については、日本透析医学会のホームページに「図説わが国の透析療法の現状」というのが、毎年公表されているので参考にしよう。2009年の統計では、慢性透析患者数は、290,675人である。このうち、昼間血液透析が、238,878人(82.2%)、夜間血液透析が、41,712人(14.4%)、在宅血液透析が、229人(0.1%)、腹膜透析が、9,856人(3.4%)になっている。在宅で血液透析をしている人もいるんだね。

(2)× 物質除去能率は、血液透析の方が高い。

(3)× 血液透析で使用される透析膜は、たんぱく質をほとんど通さないので、たんぱく質はほとんど失われない。これに対し、腹膜透析は腹膜を透析膜として利用するため、透析液の中に、1日10g程度のたんぱく質が失われる。そのため、これまでのガイドラインでは、たんぱく質摂取量は、血液透析で1.0~1.2g/kg/day、腹膜透析で1.1~1.3g/kg/dayとされていた。しかし、「2009年版日本透析医学会腹膜透析ガイドライン」では、わが国では栄養状態が良好に維持されている腹膜透析患者のたんぱく質摂取量は0.9 g/kg/dayであること、1.2 g/kg/day以上の症例はほとんどいないこと、1.5 g/kg/day以上のたんぱく質摂取による栄養指標の改善は報告されておらず、むしろ高リン血症のリスクが問題となることを挙げ、たんぱく質摂取量は、適正なエネルギー摂取を前提とした場合0.9〜1.2g/kg/dayを目標とすることを推奨している。

(4)〇 腹膜からのブドウ糖吸収エネルギー量は、使用透析液濃度、総使用液量、貯留時間、腹膜機能などの影響を受ける。目安として、1.5%ブドウ糖濃度液2L、4時間貯留では約70 kcalが、2.5%ブドウ糖濃度液2L、4時間貯留では約120 kcalが、4.25%ブドウ糖濃度液2L、4時間貯留では約220 kcalが吸収される。よって、栄養指導では、総エネルギー量から腹膜吸収エネルギー量を引いたエネルギー量を指導する。

(5)× 自宅で血液透析をしている人は、わずか0.1%である。

正解(4)
by kanri-kokushi | 2011-07-17 14:48 | 第25回国家試験 | Comments(0)