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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

25-44 肺気腫に関する記述である。誤っているのはどれか。
(1)喫煙は、外因性危険因子である。
(2)1秒率は、低下する。
(3)拘束性換気障害に分類される。
(4)高頻度にマラスムス(marasmus)型栄養障害を認める。
(5)BMIは、予後因子になる。

(1)〇 肺気腫とは、「肺胞壁の破壊的変化により終末気管支梢から末梢の含気区域が異常に拡大していることを特徴とする解剖学的変化」と定義される。つまり、息を吐き出す時に、終末気管支が閉塞するために、空気が肺胞内に残り、肺胞と肺胞の間の壁が破壊された状態である。危険因子には、喫煙、大気汚染、呼吸器感染症など外因性危険因子と、遺伝因子であるα1アンチトリプシン欠損症、気道過敏症、喘息など内因性危険因子がある。

(2)〇 1秒率は、思い切り息を吐き出した時、最初の1秒間でどれくらい吐き出せるか、という検査である。息を吐き出す時に終末気管支が閉塞するので、吐き出せる息の量は減少する。つまり、1秒率は低下する。

(3)× (2)のように、1秒率が低下する障害を、閉塞性換気障害という。拘束性換気障害とは、肺が広がらないために起こる換気障害で、1秒率は正常範囲だが、肺活量が低下したものをいう。

(4)〇 安静時でも努力呼吸が必要で、エネルギー消費量が大きくなる。一方、呼吸困難、腹部膨満感などにより食欲不振となるため、たんぱく質エネルギー欠乏症(PEM, protein energy malnutrition)となる。PEMの中でも、骨格筋量の減少が著しいマラスムス型になることが特徴である。

(5)〇 予後を悪くする因子には、高齢、喫煙指数高値、肺過膨張、低酸素血症、高二酸化炭素血症、低栄養状態、体重減少、運動耐容能低下などがある。

正解(3)
by kanri-kokushi | 2011-07-19 13:59 | 第25回国家試験 | Comments(0)