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臨床栄養学

19-26.アレルギー疾患に関する組合せである。正しいのはどれか。
(1)食品の加熱処理 - アレルゲン活性の増加
(2)アレルゲンの少量投与 - 減感作療法
(3)RAST法 - IgG抗体の測定
(4)アトピー性皮膚炎 - Ⅱ型アレルギー
(5)アナフィラキシーショック - 3型アレルギー

免疫は本来、自己を守るために働くものだけど、時として自己を障害する反応が起こることがある。免疫反応が自分の全身または局所に障害を引き起こすことをアレルギーというんだ。障害を引き起こすメカニズムによりアレルギーは4種類(または5種類)に分類されるぞ。アレルギー疾患がどの分類に当てはまるかを組合せの形でよく出題されているので、ここで主なものをまとめておこう。

Ⅰ型(アナフィラキシー型):IgEによる即時型アレルギー。花粉症、気管支喘息、食物アレルギーなど。
Ⅱ型(細胞障害型):自己抗体が産生され、補体が関与して細胞障害を起こすアレルギー。自己免疫性溶血性貧血、1型糖尿病など。
Ⅲ型(アルサス型):抗原抗体複合体が組織障害を起こすアレルギー。血清病、糸球体腎炎、膠原病など。
Ⅳ型(遅延型):細胞性免疫によるアレルギー。ツベルクリン反応など。
Ⅴ型:抗原刺激により組織の機能が異常亢進または異常低下するアレルギー。バセドウ病、重症筋無力症など。

食物アレルギーなどIgEによるⅠ型アレルギーの診断には、何が抗原になっているのか調べて、抗原を避けるようにすることが大切だ。RAST法というのはRadio-allergo-solvent testの略語だ。これでは、まだ何のことかわからないね。まず、アレルギーをよく起こすことが知られている抗原を貼り付けたペーパーディスクを用意する。次に、患者の血清とこのディスクを混ぜ合わせる。もしも、患者の血清の中のこの抗原と結合する抗体があれば、その抗体はディスクに結合する。次に、アイソトープで標識した抗IgE抗体を混ぜ合わせる。もし、ディスクに患者のIgEが結合していたら、アイソトープはディスクに結合する。後でディスクを回収して、放射能を測定する。ごちゃごちゃしているけど、要するに、患者の血清の中に調べようとしている抗原に対するIgEが増加していれば、放射能のカウントが増加するということだ。よって、RAST法は特異的な抗原に結合するIgEを測定する方法である

アレルギー疾患の治療の原則は、①原因となる抗原を回避・除去して、アレルギー反応を起こさないようにする、②薬物により免疫反応を抑制して症状を緩和する、だ。アレルギー反応による症状を起こさない程度の少量の抗原(アレルゲン)を繰り返し投与すると、その抗原に対するアレルギー反応が徐々に起こらなくなることがある。この現象を利用した治療法が減感作療法だ。

食物アレルギーの治療の原則は除去食療法だ。食物アレルギーは乳幼児に多く、成長・発育のための栄養摂取が重要な時期なので、除去食療法をするときは、必ず適切な代替食品を摂取することが大切だ。食品を加熱処理すると、アレルゲンとなっているタンパク質が変性する。タンパク質が変性すると分子の形が変わるのでアレルギーを起こすIgE抗体と結合しにくくなるので、アレルゲンとしての活性が低下する。

正解は(2)だ。
by kanri-kokushi | 2005-10-31 16:55 | 第19回国家試験 | Comments(0)