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臨床栄養学

25-141 クッシング症候群の病態である。正しいのはどれか。
(1)免疫能亢進
(2)低血糖
(3)低血圧
(4)骨粗鬆症
(5)やせ

 クッシング症候群は、慢性のグルココルチコイド過剰分泌により、中心性肥満、高血圧、低K血症、代謝性アルカローシスなどが出現する疾患である。下垂体のACTH過剰分泌が原因である場合をクッシング病という。クッシング病の80~90%は下垂体のACTH産生腺腫が原因である。副腎の過形成または腺腫によりグルココルチコイド過剰産生が原因である場合を狭義のクッシング症候群という。クッシング病と副腎腺腫の頻度は約1:1である。20~40歳代の女性に多い(男女比1.3:5)。
 症状では、中心性肥満、満月様顔貌、水牛様脂肪沈着、皮膚線条、多毛症、座瘡(にきび)、月経異常(無月経)、高血圧(過剰のグルココルチコイドによりミネラルコルチコイド様の作用が出現する)、四肢の筋萎縮、筋力低下、骨粗鬆症などがある。
 検査所見では、血中コルチゾール高値(デキサメタゾン抑制試験でも抑制されない)、ACTH(クッシング病では高値、副腎腺腫では低値)、赤血球と白血球増加(リンパ球と好酸球は減少)、耐糖能障害、高コレステロール血症、低K血症、代謝性アルカローシスなどがある。

(1)× 副腎皮質ホルモンは、臓器移植などの時に拒絶反応を抑制する目的で使用する。よって、免疫能を抑制する。

(2)× 副腎皮質ホルモンは、インスリンの作用を抑制し、肝臓での糖新生を亢進する。よって、耐糖能異常が出現し、高血糖となる。

(3)× Naの貯留、体液量の増加により、高血圧となる。

(4)〇 副腎皮質ホルモンは、腸管でのCa吸収の抑制、腎でのCa再吸収抑制により、二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こす。骨組織に対しても、骨芽細胞の活動を抑制し、破骨細胞の活動を亢進させるので、骨粗鬆症が出現する。

(5)× 手足の骨格筋と脂肪組織の減少により手足は細いが、体幹には脂肪が沈着し、中心性肥満になる。

正解(4)
by kanri-kokushi | 2011-12-22 17:48 | 第25回国家試験 | Comments(0)