人気ブログランキング | 話題のタグを見る

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

26-33 先天性代謝異常症に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)フェニルケトン尿症では、血中のフェニルアラニンが減少する。
(2)ホモシスチン尿症では、血中のチロシンが減少する。
(3)メープルシロップ尿症では、血中のロイシンが増加する。
(4)ウィルソン病では、血中のセルロプラスミンが増加する。
(5)糖原病Ⅰ型では、血中のグルコースが増加する。

(1)× フェニルケトン尿症では、フェニルアラニンをチロシン変換するフェニルアラニン水酸化酵素が欠損している。そのため、血中のフェニルアラニン濃度が上昇し、チロシン濃度が低下する。

(2)× ホモシスチン尿症では、ホモシステインとセリンから、シスタチオニンを生成するシスタチオニン合成酵素が欠損している。そのため、血中のホモシステイン濃度が上昇し、シスタチオニン濃度が低下する。

(3)〇 メープルシロップ尿症では、分岐鎖ケト酸をアシルCoAに変換する分岐鎖ケト酸脱水素酵素複合体が欠損している。そのため血中の分岐鎖ケト酸濃度が上昇し、尿に排泄されるのでメープルシロップ臭がする。分岐鎖ケト酸の材料である分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)の血中濃度も上昇する。

(4)× ウィルソン病は、細胞内銅輸送たんぱく質の異常により、組織に銅が沈着する。3大症状は、肝硬変、錐体外路症状、角膜のカイザー‐フライシャー輪である。セルロプラスミン(銅輸送たんぱく質)の合成障害により、血中セルロプラスミン値は低値になる。

(5)× 糖原病Ⅰ型(von Gierke病)は、グルコース‐6‐ホスファターゼの欠損により、肝臓のグリコーゲンを分解して血中に放出することができない。そのため、肝臓にグリコーゲンが蓄積し、血中グルコース濃度は低下する。すなわち、低血糖が出現する。

正解(3)
by kanri-kokushi | 2012-07-25 16:47 | 第26回国家試験 | Comments(0)