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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

26-36 血圧に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)血圧の上昇により圧受容体が刺激されると、心拍数は低下する。
(2)動脈血圧は、心拍出量と末梢血管抵抗の和であらわされる。
(3)血液粘性が高いと、血圧は低下する。
(4)副交感神経刺激で、心拍出量は増加する。
(5)心臓への流入血液量が増えると、心収縮力は低下する。

(1)〇 圧受容器が刺激されると、延髄の心臓中枢が抑制されるので、心拍数は低下する。圧受容器は、大動脈弓と頚動脈洞に存在する。大動脈弓からの刺激は迷走神経により、頚動脈洞からの刺激は舌咽神経により延髄の心臓中枢と血管運動中枢に伝達される。

(2)× 動脈血圧は、心拍出量と末梢血管抵抗の積であらわされる。和と積は何が違うのか。例えば心拍出量が2倍になると血圧は2倍になる。これは積であらわしているからである。水道の蛇口にホースをつないで水撒きをする場面を想像しよう。ホースの中の水圧が血圧である。蛇口から水が出る量が心拍出量である。ホースの先端を指でつまんで出口を狭くするのが末梢血管抵抗である。

(3)× 血液粘度が高いと、血圧は上昇する。細い管の中をサラサラした液体とドロドロした液体を流す場面を想像してみよう。ドロドロした液体を流すには、より大きな圧力を変える必要があることがわかるだろう。

(4)× 副交感神経刺激で、心拍出量(一般に、毎分心拍出量のこと)は減少する。心拍出量には、1回心拍出量と毎分心拍出量がある。副交感神経は、心臓の洞結節と房室結節にだけ分布しているので、副交感神経刺激は、心拍数を減少させるが、心筋の収縮力は変えない。よって、毎分心拍出量は減少するが、1回心拍出量は変化しない。交感神経は、心臓全体に分布しているので、交感神経刺激は、心拍数を増加させ、心筋の収縮力を増強するので、心拍出量は増加する。

(5)× 心臓への流入血液量が増えると、心収縮力は増加する。筋肉の収縮は、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントの滑走によって起こる。筋肉の収縮力は、収縮前のアクチンフィラメントとミオシンフィラメント位置関係が関与する。筋肉には最大の収縮力を出す適切な長さがある。筋肉が縮こまるっていたり、引き伸ばされすぎたりすると収縮力は低下する。生理的な条件下では、心臓への流入血液量が増えて、心筋が引き伸ばされると、収縮力は増強するように設定されている。これをフランク‐スターリングの法則という。心不全などで、病的に引き伸ばされると、収縮力は低下する。

正解(1)
by kanri-kokushi | 2012-07-26 09:20 | 第26回国家試験 | Comments(0)