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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

25(追加)-30 がん・悪性腫瘍と、その誘因に関する組合せである。誤っているのはどれか。
(1)肝細胞がん - アフラトキシン
(2)カポジ肉腫 - アスベスト
(3)膀胱腫瘍 - アニリン
(4)バーキットリンパ腫 - EBウイルス
(5)子宮頸がん - ヒトパピローマウイルス

(1)〇 アフラトキシンは、カビ毒の一種である。Aspergillus flavusから発見された毒toxinということで名づけられた。アフラトキシンは、肝細胞がんを起こす。肝臓の代謝酵素シトクロムP450によって活性化されアフラトキシンが肝細胞のDNAに結合することが、癌化のイニシエーターとなると考えられている。

(2)× アスベスト(石綿)は、蛇紋石や角閃石が繊維状に変形した天然の鉱石である。アスベストには発がん性があり、粉末を吸入することにより肺癌や悪性中皮腫を発生させる。カポジ肉腫(Kaposi's sarcoma)は、エイズ患者の末期など、免疫能が著しく低下した患者の皮膚の血管内皮細胞にカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスが感染して発症する。

(3)〇 アニリンは、化学色素の一種で、ベンゼンの水素原子の一つをアミノ基で置換した構造である。アニリンには発がん性があり、膀胱がんを発生させる。アニリンに長期間暴露することにより発生することから、職業癌の一種である。

(4)〇 バーキットリンパ腫は、悪性リンパ腫の一種で、B細胞リンパ球から発生する。臨床的特徴から「風土病型」、「散発型」、「免疫不全型」の3群に分類されるが、このうち「風土病型」は、EBウイルス(Epstein-Barr virus)感染との関連性が強い。EpsteinとBarrは、バーキットリンパ腫由来の細胞株にウイルス粒子が含まれることを発見した人である。

(5)〇 子宮頚がんは、ヒトパピローマウイルスが長期間感染することにより発生する。ワクチンの接種によりヒトパピローマウイルス感染を予防することは、子宮頚がんの予防にもつながる。しかし、すでに、ヒトパピローマウイルスに感染している場合は、ワクチンの効果はない。

正解(2)
by kanri-kokushi | 2012-09-04 14:48 | 第25回国家試験(追加) | Comments(0)