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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

25(追加)-33 高尿酸血症・痛風に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)痛風患者の男女比は、ほぼ1:1である。
(2)尿酸は、尿中よりも糞便中に多く排泄される。
(3)エストロゲンは、尿酸の排泄を抑制する。
(4)尿が酸性になると、尿酸結石ができやすい。
(5)アルコールの摂取は、尿酸の排泄を促進する。

(1)× 痛風患者は、男性が圧倒的に多い。
 調査により5:1から99:1までさまざまな報告がなされている。平成22年の国民生活基礎調査では、人口千人当たりの痛風による通院者率は、男性14.9人に対し、女性0.8人であった。圧倒的に男性が多いことだけは確かである。女性ホルモンが尿酸排泄能を高めることが、女性で痛風が少ない理由であると考えられている。

(2)× 尿酸の65~75%は、尿中に排泄される。
 1日産生される尿酸の量は600~800㎎である。このうち400~600㎎が尿中に排泄され、200㎎が消化管や汗として排泄される。

(3)× エストロゲンは、尿酸の排泄を促進する。
 女性ホルモンであるエストロゲンは尿酸の排泄を促進するので、女性では高尿酸血症・痛風の発症率が低い。

(4)〇 正しい。
 尿中の尿酸は、pH5.0では6~15㎎/㎗で飽和するが、pH7.0では158~200㎎/㎗で飽和する。

(5)× アルコールの摂取は、尿酸の排泄を抑制する。
 アルコールが代謝されると、NADHが増加する。NADHの増加は、ピルビン酸から乳酸の産生を増加させる。乳酸産生増加は、腎臓からの尿酸排泄低下を引き起こす。尿酸と乳酸は、尿細管の交換輸送体(URAT1)で反対方向に輸送される。尿細管上皮内の乳酸が増加すると、URAT1を介した乳酸排泄が増加し、それに伴って尿酸の再吸収が増加する。

正解(4)
by kanri-kokushi | 2012-09-04 16:52 | 第25回国家試験(追加) | Comments(0)