人気ブログランキング | 話題のタグを見る

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

25(追加)-39 血圧、体液の調節に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)レニンは、血圧上昇により腎臓から分泌が亢進する。
(2)アンギオテンシンⅠは、腎臓でのカリウムの再吸収を促進する。
(3)バソプレシンは、腎臓でのナトリウムの再吸収を促進する。
(4)アルドステロンは、傍糸球体装置から分泌される。
(5)アンギオテンシンⅡは、末梢血管を収縮させる。

(1)× レニンは、血圧低下により腎臓から分泌が亢進する。
 レニンは、腎臓の糸球体の輸入細動脈の内部にある傍糸球体装置から分泌される。輸入細動脈圧の低下がレニン分泌を亢進させる刺激である。血圧が低下すると輸入細動脈圧も低下するので、レニン分泌は亢進する。レニンは、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系を活性化して体液量を増加させる。輸入細動脈圧は、体液量の増減を知るセンサーになっている。

(2)× アンギオテンシンⅠには、生理活性はない。
 アンギオテンシノーゲンは453個アミノ酸からなるたんぱく質である。レニンは、アンギオテンシノーゲンのN端を切り離して、10個のアミン酸からなるアンギオテンシノーゲンⅠを生成する。アンギオテンシンⅠは、さらにアンギオテンシン変換酵素の作用によりC端の2つのアミノ酸を切り離して、8個のアミノ酸からなるアンギオテンシンⅡを生成する。生理活性を持つ分子はアンギオテンシンⅡであり、アンギオテンシンⅠには生理活性はない。

(3)× バソプレシンは、腎臓での水の再吸収を促進する。
 バソプレシンは、血漿浸透圧の上昇および体液量の減少が刺激となって下垂体後葉から分泌される。バソプレシンは、腎臓の集合管に働いて、水の再吸収を促進する。バソプレシンは、集合管上皮細胞内にあるアクアポリン(水分子を通過させるたんぱく質)を細胞膜に移動させることにより、再吸収を促進する。

(4)× アルドステロンは、副腎皮質から分泌される。
 アンギオテンシンⅡが副腎皮質に作用すると、アルドステロンが分泌される。アルドステロンは、集合管に作用して、ナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促進する。ナトリウムの再吸収に伴い、水の再吸収も増加するので体液量が増加する。

(5)○ アンギオテンシンⅡは、末梢血管を収縮させる。
 アンギオ(angio-)は、血管という意味である。テンシン(tensin)は、緊張(tension)に由来する。すなわち、血管を緊張させる物質という意味である。アンギオテンシンⅡは、体内で最も強力な昇圧物質の1つであり、ノルアドレナリンの4~8倍の血圧上昇作用がある。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2012-11-22 10:31 | 第25回国家試験(追加) | Comments(0)