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生化学

19-98.核酸とその関連物質に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)DNAの二重らせん構造を保持する相補的塩基配列は、配位結合によって形成されている。
(2)グアニンとシトシンは、相補的塩基対を形成する。
(3)mRNAを構成する塩基には、チミンが含まれる。
(4)tRNA(転移RNA)の化学構造中には、リン酸は含まれない。
(5)各アミノ酸に対応するコドンは、それぞれ1種類である。

核酸に関する基礎知識を問う問題だ。
まず核酸にはDNARNAの2種類がある。これはいいね。次に、DNAもRNAもヌクレオチドが一列につながった構造をしている。ヌクレオチドはわかるかな?ヌクレオチドとは塩基・糖・リン酸からなる化合物だ。核酸は糖-リン酸-糖-リン酸・・・といった具合に鎖状につながり、それぞれの糖に塩基がくっついている構造をしている。今すぐ、生化学の教科書を開いて構造式を確認しよう。核酸を構成する塩基は全部で5種類(プリン誘導体であるアデニンとグアニンの2種類、ピリミジン誘導体であるシトシン、チミン、ウラシルの3種類)あるけど、DNAはアデニン、グアニン、シトシン、チミンの4種類、RNAはアデニン、グアニン、シトシン、ウラシルの4種類を使っているんだ。DNAは2本の核酸の鎖が互いに絡み合うように2重らせん構造になっていて、それぞれの鎖の塩基が水素結合で対を作っている。この塩基対だが、どれでもいいというわけではなくて、いつもアデニンとチミン、グアニンとシトシンが対になっている。これを、お互いに補い合うということで相補的塩基対というんだ。
DNAを鋳型にしてRNAが作られるときは、DNA上のチミンにはアデニンが、アデニンにはウラシルが、グアニンにはシトシンが、シトシンにはグアニンが相補的塩基対を形成する。よって、RNAを構成する塩基にはチミンは含まれず、代わりにウラシルが含まれることになるんだ。
tRNAはmRNAの塩基配列をもとにタンパク質を作る翻訳のときに働くRNAだ。3つの塩基配列が1つのアミノ酸に対応している。この3つの塩基配列のことをコドンという。コドンは4種類の塩基で作られる遺伝暗号だから、その配列は4×4×4=64通りある。アミノ酸は全部で20種類だから配列の種類のほうが多い。メチオニンのコドンは1種類だけど、その他のアミノ酸には複数のコドンが対応している。もっとも多いのはロイシン、セリン、アルギニンで、それぞれ6種類のコドンが対応しているんだ。

よって、正解は(2)だ。
by kanri-kokushi | 2005-11-21 16:08 | 第19回国家試験 | Comments(0)