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臨床栄養学

26-128 経腸栄養法に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)経鼻経管法では、カテーテル先端を回腸に留置する。
(2)成分栄養剤の脂肪エネルギー比率は、20%である。
(3)腸瘻による経腸栄養管理は、8週間を超えてはならない。
(4)食道通過障害時には、使用できない。
(5)肝不全用経腸栄養剤は、芳香族アミノ酸を少なくしている。

(1)× 経鼻経管法では、カテーテル先端を胃または十二指腸または空腸に留置する。
 経鼻経管法は、経口摂取はできないが、胃以下の消化管の使用が可能な場合に適応となる。使用されるチューブには、先端をどこに留置するかによって、経鼻胃チューブ、経鼻十二指腸チューブ、経鼻空腸チューブに分類される。胃内に留置するのは簡便であるが、逆流による嘔吐の危険がある。十二指腸または空腸に留置すると逆流の危険は減るが、留置のために先端にスチールボールがついたチューブを用いるなど工夫が必要である。

(2)× 成分栄養剤の脂肪エネルギー比率は、一般に流動性を高めるために低く抑えられていることが多い。
 成分栄養剤の脂肪エネルギー比は、製品により0~25%である。ツインライン®は25%であるが、その70%は中鎖脂肪酸である。エレンタール®は1.5%なので、必須脂肪酸の欠乏に注意する必要がある。

(3)× 腸瘻による経腸栄養管理は、長期管理が可能である。
 一般に、4~6週間の短期間であれば、経鼻経路を使用する。それ以上の長期間の管理が必要な場合は、胃瘻または腸瘻を使用する。

(4)× 食道通過障害時には、胃瘻または腸瘻を使用できる。

(5)○ 肝不全用経腸栄養剤は、芳香族アミノ酸を少なくし、分岐鎖アミノ酸を多くしている。
 芳香族アミノ酸は、主に肝臓に取り込まれて代謝される。一方、分岐鎖アミノ酸は、主に骨格筋に取り込まれて代謝される。肝不全では、芳香族アミノ酸の肝臓への取り込みが低下するので、血中芳香族アミノ酸濃度が上昇する。また、膵臓から分泌されたインスリンは、肝臓を通過せずに全身に循環する割合が増加し、高インスリン血症になるので、骨格筋での分岐鎖アミノ酸の取り込みが増加し、血中分岐鎖アミノ酸濃度が低下する。その結果、血中アミノ酸のフィッシャー比(分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸)が低下する。このため、脳内に移行するアミノ酸のインバランス(不均衡)が出現し、肝性脳症を引き起こす。血中フィッシャー比を是正するために、肝不全用経腸栄養剤は、芳香族アミノ酸を少なくし、分岐鎖アミノ酸を多くしている。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2013-01-25 10:19 | 第26回国家試験 | Comments(0)