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臨床栄養学

26-149 妊娠糖尿病に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)妊娠前から診断されている糖尿病をいう。
(2)血糖コントロール目標は、朝食前血糖値を150㎎/㎗とする。
(3)妊娠に伴うエネルギー付加は、行わない。
(4)薬物療法には、インスリンを用いる。
(5)ケトン体産生を亢進させる食事とする。

(1)× 妊娠前から糖尿病が明らかで妊娠した場合は、「糖尿病合併妊娠」という。
 妊娠糖尿病(gestational diabetes)の定義は、「妊娠中に初めて発見または発症した、糖尿病に至っていない糖代謝異常」である。診断基準は、75gOGTTにおいて、次の基準の1点以上を満たした場合である。ただし、臨床診断において糖尿病と診断されるものは除外する。
  空腹時血糖値≧92㎎/㎗
  1時間値≧180㎎/㎗
  2時間値≧153㎎/㎗

(2)× 血糖コントロール目標は、「優」が望ましいが、「良」でも許容できる。
 血糖コントロールの「優」は、空腹時血糖値80~110㎎/㎗、食後2時間値80~140㎎/㎗、HbA1c 6.2%未満である。「良」は、空腹時血糖値110~130㎎/㎗、食後2時間値140~180㎎/㎗、HbA1c 6.2~6.9%である。朝食前血糖値150㎎/㎗は、「可」であるので、許容できない。

(3)× 妊娠に伴うエネルギー付加を行う。
 妊娠糖尿病の食事療法にいては、妊婦に必要にして十分な栄養を付加し、適正な体重増加を目指す。付加の目安は、以下のとおりである。
 非肥満妊婦(BMI<25)の場合 妊娠初期 標準体重×30㎉+50㎉
                妊娠中期 標準体重×30㎉+250㎉
                妊娠末期 標準体重×30㎉+450㎉
                授乳期  標準体重×30㎉+350㎉
 肥満妊婦の場合(BMI≧25)の場合 標準体重×30㎉

(4)○ 薬物療法には、インスリンを用いる。
 妊娠前、妊娠中、周産期、授乳期の薬物療法は、インスリンを用いる。経口血糖降下薬が妊娠に対して与える影響について、安全性が確立しているとは言えないので、原則としてインスリン治療に変更する。

(5)× ケトン体産生を亢進させる食事としない。
 ケトン体が、胎児の発育に悪影響を及ぼす可能性があるので、体重減少や飢餓状態を招くようなエネルギー制限は行わない。

正解(4)
by kanri-kokushi | 2013-04-12 12:08 | 第26回国家試験 | Comments(0)