人気ブログランキング | 話題のタグを見る

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

27-25 糖質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)グルカゴンは、グリコーゲン分解を抑制する。
(2)グルコース‐6‐ホスファターゼは、解糖系の律速酵素である。
(3)アセチルCoAは、ピルビン酸と反応してクエン酸回路に入る。
(4)グリコーゲンが加リン酸分解されると、グルコース‐1‐リン酸が生成する。
(5)ペントースリン酸回路は、ペントースリン酸を分解するための代謝経路である。

(1)× グルカゴンは、血糖値低下が刺激となって、膵臓ランゲルハンス島A(α)細胞から分泌されるペプチドホルモンである。グルカゴンは、肝臓に働いてグリコーゲン分解と糖新生を促進する。その結果、生成したグルコースを血液中に放出して、血糖値を上昇させる。

(2)× グルコース‐6‐ホスファターゼは、グルコース-6-リン酸からリン酸をとって、グルコースを生成する酵素である。解糖系にはない酵素で、糖新生の最終段階で律速酵素として働く。グルコース‐6‐ホスファターゼは、肝臓と腎臓に存在し、骨格筋や脂肪細胞にはない。だから、肝臓と腎臓以外の組織では、グリコーゲン分解や糖新生によって血液中にグルコースを放出して、血糖値を上昇させることはできない。

(3)× 解糖系で生成したピルビン酸は、ミトコンドリアに入り、ピルビン酸脱水素酵素の作用でアセチルCoAになる。アセチルCoAは、オキサロ酢酸と反応してクエン酸となって、クエン酸回路に入る。

(4)○ グリコーゲンを分解する酵素は、ホスホリラーゼである。ホスホリラーゼは、グリコーゲンのα1→4結合を「加リン酸分解」する。「加水分解」でないことに注意しよう。生成物は、グルコース‐1‐リン酸である。グルコース‐1‐リン酸は、ホスホグルコムターゼの作用でグルコース‐6‐リン酸となる。さらに、グルコース‐6‐ホスファターゼの作用でグルコースとリン酸に加水分解される。

(5)× ペントースリン酸経路は、解糖系のグルコース‐6‐リン酸から枝分かれし、フルクトース‐6‐リン酸とグルセルアルデヒド-3-リン酸になって、解糖系に戻る側路である。ペントースリン酸経路の役割は、2つある。脂質合成に必要なNADPHの産生と、核酸合成に必要なリボース‐5‐リン酸の産生である。リボースは5炭糖(ペントース)なので、ペントースリン酸経路は、ペントースリン酸を生成するための代謝経路である。

正解(4)
by kanri-kokushi | 2013-04-30 11:54 | 第27回国家試験 | Comments(0)