2013年 07月 19日
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
(1)空腹時血糖400㎎/㎗の1型糖尿病
(2)収縮期血圧200mmHgの妊娠高血圧症候群
(3)尿ケトン体強陽性の2型糖尿病
(4)血清クレアチニン値10㎎/㎗の慢性腎不全
(5)血清トリグリセリド値230㎎/㎗の肥満(1度)の肥満症
(1)× 空腹時血糖400㎎/㎗ということは、コントロール状態は不良ということである。1型糖尿病でコントロール状態が不良ということは、インスリンが不足しているということである。1型糖尿病でインスリンが不足しているということは、ケトアシドーシスを起こしやすい状態であるということである。運動は、交感神経を刺激し、脂肪酸分解を促進するので、ケトン体の材料を多量に供給することになり、ケトアシドーシスを誘発する可能性がある。よって、運動療法は適応にならない。
(2)× 収縮期血圧200mmHgの妊娠高血圧症候群では、運動によりさらに血圧が上昇し、脳出血を起こす可能性がるので、運動療法は適応にならない。
(3)× 尿ケトン体が強陽性ということは、2型糖尿病であっても、インスリンの絶対的不足の状態にあると考えられる。よって、(1)と同じ理由で、運動療法は適応にならない。
(4)× 血清クレアチニン値10㎎/㎗の慢性腎不全は、そろそろ透析療法を考慮する必要がある、かなり進行した腎不全であると考えられる。運動は、たんぱく尿を増加させ、糸球体濾過量を減少させる可能性があるので、この時期に、積極的に運動療法を勧める理由はない。しかし、過度の安静や運動不足は、かえって身体機能を低下させることになる。腎不全のいずれのステージであっても、適切な運動療法の実施は、慢性腎臓病(CKD)の心血管病による死亡を減少させるとエビデンスもあるので、一概に運動禁止にはならない。
(5)○ 血清トリグリセリド値230㎎/㎗の肥満(1度)の肥満症では、肥満によって引き起こされるインスリン抵抗性が、高トリグリセリド血症(150㎎/㎗以上)の原因である。運動療法は、肥満症の減量を促進し、インスリン抵抗性を改善させるので、適応になる。
正解(5)