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臨床栄養学

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22-128 中心静脈栄養に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)一日に必要なエネルギー量が確保できる。
(2)高カロリー輸液製剤には、鉄が含有されている。
(3)脂肪乳剤は、中心静脈カテーテルから投与してはいけない。
(4)高カロリー輸液剤を急に止めると高血糖になる。
(5)大腿静脈へのカテーテル挿入は行ってはいけない。

(1)〇 一日に必要なエネルギー量が確保できる。
 末梢静脈栄養では、一日に必要なエネルギー量を確保できない。末梢静脈では、グルコース濃度を10%以上にすると高浸透圧により静脈炎を起こす可能性がある。1日2,000kcalの60%をグルコースで投与する場合、グルコースは2,000×0.6÷4=300ℊ投与することになる。これを10%溶液にすると、水分は3,000㎖になる。これに、アミノ酸製剤500㎖と脂肪乳剤500㎖を加えると、投与する水分は4,000㎖になり、水分の過剰投与になる。中心静脈栄養では、心臓に近い大きな静脈にカテーテルと留置し、24時間持続点滴を行うので、高濃度のグルコースを投与できる。例えば、300ℊのグルコースを投与するのに、グルコース濃度を30%にすると、水分を1,000㎖に抑えることができる。

(2)× 高カロリー輸液製剤には、鉄は含有されていない。
 高カロリー輸液製剤に含有されている電解質は、Na、K、Ca、Mg、Cl、Zn、P、酢酸、グルクロン酸、クエン酸、乳酸などである。Feは、微量元素製剤として投与する。わが国の微量元素製剤には、Fe、Mn、Zn、Cu、Iの5種類である。

(3)× 脂肪乳剤は、中心静脈カテーテルから投与できる。
 脂肪乳剤の平均粒子径は、0.2~0.4μmなので、フィルターを通過できない。よって、中心静脈カテーテルから投与する場合、インラインフィルターより患者側から投与する必要がある。インラインフィルターは、汚染された輸液や輸液ラインからの微生物や沈殿物を補足し、空気塞栓を予防する目的で輸液ラインに取り付けられる。

(4)× 高カロリー輸液剤を急に止めると低血糖になる。
 一定の速度で投与されるグルコースに対し、血糖値を一定の範囲内に維持できるように血中インスリン濃度が維持されるようにインスリンが分泌されている。急にグルコースの投与を中止すると、血液中のインスリン濃度は高いままなので、低血糖が出現する。

(5)× 大腿静脈へのカテーテル挿入できる。
 中心静脈栄養で使用するカテーテルを挿入する静脈は、鎖骨下静脈、内頚静脈、外頚静脈、大腿静脈が利用できる。このうち、大腿静脈は、カテーテル感染の発生頻度が高く、深部静脈血栓症を起こすリスクもあるため、緊急時または一時的使用にとどめる。

正解(1)
by kanri-kokushi | 2014-02-20 12:25 | 第22回国家試験 | Comments(0)