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臨床栄養学

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22-138 高血圧症に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)高血圧症は、腎機能障害を合併しない。
(2)降圧利尿薬は、全身の循環血漿量を減らす作用を持つ。
(3)カルシウム括抗薬は、グレープフルーツジュースで服用すると効果が低下する。
(4)降圧薬の多剤併用療法は禁忌である。
(5)高血圧症予防を目的としたカリウムの望ましい摂取量は、1,600㎎/日である。

(1)× 高血圧症は、腎機能障害を合併する。
 高血圧症では、細小動脈の血管壁が硝子化により肥厚する。これを硝子化細動脈硬化症という。このため、血管内腔は狭くなり血流が減少する。これが腎臓の細動脈に起こると、糸球体の血流が減少し、萎縮する。これを腎硬化症という。腎硬化症は、透析導入の原因第3位で、約10%を占めている。

(2)〇 降圧利尿薬は、全身の循環血漿量を減らす作用を持つ。
 降圧利尿薬は、尿細管でのNa再吸収を抑制することにより、Na排泄を増やす。その結果、体内のNa量は減少する。Naは、細胞外液の浸透圧を決める主要な因子であることから、体内のNaが減少すれば、体液量が減少する。すると循環血液量も減少する。循環血液量が減少すれば、心拍出量も減少する。血圧は、心拍出量と末梢血管抵抗の積で決まるので、心拍出量が減少すれば、血圧も低下する。

(3)× カルシウム括抗薬は、グレープフルーツジュースで服用すると効果が増強する。
 グレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリンが、小腸の薬物代謝酵素(CYP3A4)活性を阻害する。カルシウム拮抗薬(高血圧治療薬)は、CYP3A4によって代謝される薬剤なので、血中濃度が上昇し、降圧作用が増強する。

(4)× 降圧薬の多剤併用療法は禁忌である。
 降圧薬は、種類によってNa排泄増加作用、血管拡張作用、レニン・アンギオテンシン系阻害作用など異なる作用によって血圧を低下させる。一剤で十分な降圧効果を得ようとすると、投与量が多くなり、副作用が出現する可能性も高くなる。そこで、作用機序の異なる降圧薬の多剤併用療法は、相加的な降圧作用が期待できるので、一剤の投与量を少なくでき、副作用を予防できる。よって、一剤で十分な降圧効果が得られない場合は、多剤併用療法を行う。

(5)× 高血圧症予防を目的としたカリウムの望ましい摂取量は、3,500㎎/日である。
 「日本人の食事摂取基準2010年版」では、3,500㎎/日としている。

正解(2)
by kanri-kokushi | 2014-02-25 18:06 | 第22回国家試験 | Comments(0)