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臨床栄養学

25(追加)-148 胃切除後症候群に伴う病態である。誤っているのはどれか。

1)小胃症状
2)ダンピング症候群
3)低血糖症状
4)逆流性食道炎
5)再生不良性貧血

1)○ 胃を切除しているので、胃の体積は小さくなっている。そのため、少量の食事の摂取で満腹感、腹満感などが出現する。その他、腹痛、胃もたれ、悪心、嘔吐などの症状が出現する。

2)○ ダンピング症候群は、食物を胃の中に蓄えておくことができず、急速に小腸内に流入することによって出現する。食後1030分後に出現するものを早期ダンピング症候群といい、食物が直接空腸に流入し、高浸透圧刺激と急激な拡張刺激によって、神経内分泌反応を引き起こす。腹部症状として、腹痛、悪心、嘔吐、腹鳴、下痢などが出現する。全身症状としては、動悸、発汗、冷や汗、めまい、呼吸困難、失神などが出現する。

3)○ 食後90分~3時間後に出現するものを晩期(後期)ダンピング症候群という。糖質の急速な吸収による高血糖(1時間以内)と、その後のインスリン過剰分泌による反応性低血糖が原因である。脱力感、めまい、冷や汗、動悸、手の震え、意識障害など低血糖症状が出現し、3040分持続する。

4)○ 食道下部には、胃液の逆流を防ぐ下部食道括約筋があるが、胃切除により下部食道括約筋の機能が障害されると胃液や胆汁、膵液が食道に逆流して食道炎を起こす。

5)× 胃切除後に起こる貧血は、鉄欠乏性貧血および悪性貧血である。胃切除後の栄養障害を後期症候群という。胃切除による胃酸不足は、セクレチンの分泌低下、膵液分泌低下の原因となり、消化・吸収障害をもたらす。Fe3からFe2への変換が低下するため、鉄の可溶性が低下して、鉄の吸収が低下するために鉄欠乏性貧血が出現する。Fe3は、中性では難溶性である。酸性で溶解し、Fe2+(中性で可溶性)に還元されて、十二指腸で吸収される。胃酸不足では、Caの溶解性も低下するので、吸収障害が起こり、骨粗鬆症や骨軟化症の原因となる。脂肪の消化吸収障害のために、ビタミンDの吸収が障害され、これも骨粗鬆症や骨軟化症の原因となる。胃腺の壁細胞から分泌されるキャッスル内因子の不足により、ビタミンB12の吸収障害が起こり、悪性貧血(巨赤芽球性貧血)が出現する。ビタミンB12は肝臓に36年分貯蔵されているので、術後数年して出現する。

正解(5


by kanri-kokushi | 2014-12-16 17:12 | 第25回国家試験(追試) | Comments(0)