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臨床栄養学

28-134 40歳、男性。身長175㎝、体重80㎏、BMI26.1㎏/㎡、血圧142/92mmHg。血清尿酸値は8.5㎎/㎗であった。この患者の食事療法に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
(1)減量を勧める。
(2)野菜摂取を勧める。
(3)アルコール摂取を制限する。
(4)プリン体摂取を制限する。
(5)水分摂取を制限する。

(1)〇 減量を勧める。
 BMIが26.1で、肥満である。よって、減量を勧める。

(2)〇 野菜摂取を勧める。
 血圧が142/92mmHgで、高血圧症である。野菜は、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質を多く含んでいる。カリウムは、ナトリウム排泄促進作用、交感神経抑制作用、血管拡張作用を介して降圧作用がある。カルシウムとマグネシウムも降圧作用がある。よって、野菜摂取を勧める。

(3)〇 アルコール摂取を制限する。
 飲酒は、血管拡張作用により一過性に血圧が下がるが、長期的には血圧を上昇させる。一回の飲酒量、飲酒の頻度が多いほど血圧を上昇させる効果が大きくなる。よって、高血圧の改善のために、アルコール摂取を制限する。

(4)〇 プリン体摂取を制限する。
 血清尿酸値が、8.5㎎/㎗で、高尿酸血症である。尿酸は、プリン体であるアデニンとグアニンの代謝産物である。よって、プリン体の摂取を制限する。血清尿酸値については、「7.0㎎/㎗以上になると高尿酸血症と診断し、8.0㎎/㎗以上になると薬物療法の開始を検討し、6.0㎎/㎗以下を目標に治療する」と覚えておこう。これを6・7・8ルールという。

(5)× 十分な水分摂取を勧める。
 高尿酸血症では、尿路の尿酸結石ができやすい。尿酸は、血液中で7.0㎎/㎗以上になると過飽和の状態で溶解している。尿酸は、酸性で溶解度が低下し、結晶になりやすいので、尿の濃縮と酸性の尿により、尿酸結石ができやすくなっている。尿酸結石を予防するためには、尿量を増やし、尿をアルカリ化することが有効である。よって、十分な水分摂取を勧め、尿をアルカリ化する野菜の摂取を勧める。いわゆる「アルカリ食品」は、血液のpHをアルカリ化するわけではないが、尿をアルカリ化するので勧められる。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2015-02-17 16:31 | 第28回国家試験 | Comments(0)