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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

29-26 アミノ酸・たんぱく質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)γ-アミノ酷酸(GABA)は、トリブトフアンから生成される。
(2)アドレナリンは、ヒスチジンから生成される。
(3)ユビキチンは、必須アミノ酸の合成に関与する。
(4)プロテアソームは、たんぱく質リン酸化酵素である。
(5)オートファジー(autophagy)は、絶食によって誘缚される。

(1)× γ-アミノ酷酸(GABA)は、グルタミン酸から生成される。
 グルタミン酸のカルボキシル基(-COOH)から、二酸化炭素(CO2)が脱炭酸酵素の作用でとれた生成物がγ-アミノ酷酸(GABA)である。GABAは、「ギャバ」と読む。Gamma-aminobutyric acidの頭文字である。グルタミン酸が興奮性の神経伝達物質であるのに対し、GABAは抑制性の神経伝達物質である。

(2)× アドレナリンは、チロシンから生成される。
 チロシンは、ドーパ、ドーパミンを経てノルアドレナリンになり、最後にアドレナリンになる。ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンの3つは、カテコール核(catechol)とアミン(amine)を持つので、カテコールアミン(catecholamine)と呼ぶ。カテコール核とは、ベンゼン環に2つの水酸基がとなりあって結合したものである。アミンとは、アンモニアの水素原子を炭化水素基で置換したもの(R-NH2、R-NH-R2など)である。

(3)× ユビキチンは、細胞質の不要なたんぱく質の分解に関与する。
 ユビキチンは、76個のアミノ酸からなるたんぱく質である。細胞質に存在する不要なたんぱく質や異常なたんぱく質は、ユビキチンが結合する。これをたんぱく質のユビキチン化という。ユビキチンが結合したたんぱく質は、プロテアソームに取り込まれて分解される。

(4)×プロテアソームは、たんぱく質を加水分解する酵素である。
 プロテアソームは、たくさんのサブユニットからなる円筒状の巨大なたんぱく質である。プロテアソームは、細胞質に存在する。プロテアソームの内部には、ATP依存性プロテアーゼ(エネルギーを消費して、たんぱく質のペプチド結合を加水分解する酵素)を含んでいる。プロテアーゼは、ユビキチン化されたたんぱく質を円筒の中に取り込み、アミノ酸に分解して放出する。ユビキチンが細胞内の不要なたんぱく質や異常なたんぱく質の結合することをユビキチン化という。

(5)○オートファジー(autophagy)は、絶食によって誘缚される。
 オートファジーとは、細胞内の異常なたんぱく質や過剰に合成したたんぱく質を分解することである。オートファジーは、リソソームで起こる。飢餓は、オートファジーを誘導するが、その生理的意義は、自己のたんぱく質を分解して、アミノ酸を栄養源として利用することである。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2015-08-07 16:38 | 第29回国家試験 | Comments(0)