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生化学

18-99.ヒト体内での糖質代謝に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)解糖経路を構成する酵素によって触媒される反応は、すべて可逆的に進行する。
(2)ペントースリン酸回路(ヘキソース-リン酸経路)は、NAD+の還元型(NADH)の生産に役立っている。
(3)クエン酸回路(TCA回路)は、グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝することができない。
(4)グリコーゲンが伸長する時には、グルコース残基はADP-グルコースから供給される。
(5)グルクロン酸経路(ウロン酸回路)は、グルクロン酸抱合に用いられるUDP-グルクロン酸の生産に役立っている。

(1)解糖と糖新生は単なる逆反応でないことについての説明は要らないだろう。単なる逆反応だと思っている人は、生化学の教科書の糖質代謝の部分を最初から読み直そう。糖新生にあって解糖にない酵素はオキサロ酢酸からホスホエノールピルビン酸を作るホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、フルクトース-1,6-ビスリン酸からフルクトース-6-リン酸を作るフルクトース-1,6-ビスホスファターゼ、グルコース-6-リン酸からグルコースを作るグルコース-6-ホスファターゼの3つだ。その他の酵素は可逆的に進行する。

(2)解糖の中間体であるグルコース-6-リン酸から6-ホスホグルコン酸ができて、次にリボース-5-リン酸ができて、あと何段階かあって、最終的にフルクトース-6-リン酸とグリセルアルデヒド-3-リン酸になって解糖に戻る。これをペントースリン酸経路という。ペントースリン酸経路の役割は2つだ。1つはグルコース-6-リン酸から6-ホスホグルコン酸ができるときにNADPHを産生することであり、もう1つは核酸の材料であるリボース-5-リン酸の産生だ。酸化還元反応に関係する補酵素にはNADPHとNADHがあるが、それぞれ使われる反応が異なる。解糖とクエン酸回路ではNADHが作られ、ミトコンドリアに電子を運ぶ役割を果たしている。NADPHは主に脂肪酸やコレステロールを合成するときに使われる

(3)解糖だけでなく、脂肪酸のbeta酸化やアミノ酸の代謝で生じるアセチルCoAもクエン酸回路に入って代謝される。

(4)グリコーゲンが伸長する時には、グルコース残基はUDP-グルコースから供給される。グリコーゲン合成酵素はUDP-グルコースのグルコース部分をすでに存在するグリコーゲンの末端にalpha(1→4)結合によって重合させる。

(5)解糖の中間体であるグルコース-6-リン酸からグルコース-1-リン酸になって、次にUDP-グルコースになって、次にUDP-グルクロン酸になって、あと何段階かあって、最終的にキシルロース-5-リン酸になってペントースリン酸経路に入る。この回路をウロン酸回路という。この経路の中間体であるUDP-グルクロン酸はグルクロン酸抱合でのグルクロン酸供与体である。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2006-01-06 09:51 | 第18回国家試験 | Comments(0)