2016年 01月 12日
臨床栄養学
(1)エネルギー摂取を増加させる。
(2)たんぱく質を制限する。
(3)ビタミンB1を制限する。
(4)ナトリウムを制限する。
(5)カリウムを制限する。
(1)× エネルギー摂取量を増加させる必要なない。
BMIは、80÷1.7÷1.7=27.7である。心不全により体液量が増加していることを差し引いてもエネルギー不足によるやせがあるとは考えにくいので、エネルギー量を増加させる必要はない。
(2)× たんぱく質を制限する必要はない。
血清尿素窒素値(基準値8~20㎎/㎗)が25㎎/㎗で、基準値より高値であるが、血清クレアチニン値(基準値0.8~1.2㎎/㎗)は1.0㎎/㎗で基準範囲なので、腎不全ではないのでたんぱく質を制限する必要はない。
(3)× ビタミンB1を制限する必要はない。
心不全の患者で、ビタミンB1を制限しなければならない理由は何もない。
(4)○ ナトリウムを制限する。
心不全では、体液量の増加にも関わらず、心拍出量の低下による腎血流の減少が原因となって、レニンアンギオテンシンアルドステロン系が亢進し、体内ナトリウム量が増加している。血清ナトリウム値(基準値139~146mEq/ℓ)が144mEq/ℓで基準範囲である理由は、体液量とナトリウム量の両方が増加しているので濃度は変わらないからである。よって、肺うっ血の改善のため、ナトリウムの摂取量を制限する。
(5)× カリウムを制限する必要はない。
血清カリウム値(基準値3.7~4.8 mEq/ℓ)は4.0mEq/ℓで、基準範囲にある。利尿薬には、カリウム排泄性利尿薬(サイアザイド系利尿薬、ループ利尿薬)とカリウム保持性利尿薬(抗アルドステロン薬)がある。カリウム排泄性利尿薬を使用していると仮定すると、カリウム制限をすると低カリウム血症が出現する可能性がある。カリウム保持性利尿薬を使用していると仮定すると、高カリウム血症が出現した場合はカリウムの制限が必要になるが、本症例では血清カリウム値は基準範囲なので制限する必要はない。
正解(4)