2006年 01月 09日
生化学
(1)リポタンパク質リパーゼはHDLを構成するタンパク質の一つである。
(2)VLDLはトリアシルグリセロールを脂肪組織から肝臓へ輸送するのに役立っている。
(3)LDLはVLDLの前駆体である。
(4)LDLはコレステロールを肝臓以外の組織から引き抜いて肝臓に輸送している。
(5)肝細胞はLDLを取り込むための受容体をそなえている。
リポタンパク質の代謝は国家試験の定番だ。リポタンパク質の種類、それぞれ何を、どこからどこへ運ぶのか、よく整理しておこう。
(1)リポタンパク質リパーゼ(LPL)はリポタンパク質に含まれるトリアシルグリセロール(別名トリグリセリド、中性脂肪などという)を分解して脂肪酸とグリセロールを産生する酵素だ。LPLは脂肪組織や筋組織で産生され、血管内細胞の表面にくっついていて、中性脂肪を多く含むリポタンパク質(キロミクロンとVLDL)に結合して中性脂肪を分解する。
(2)VLDLは肝臓で産生された中性脂肪を末梢組織に運ぶリポタンパク質である。
(3)VLDLは肝臓から分泌されたときは中性脂肪を豊富に含んでいるが、末梢組織でLPLの作用で中性脂肪が分解されるとコレステロールの含有比率が高いレムナントVLDLになる。レムナントVLDLは肝臓の肝性リパーゼにより中性脂肪がさらに分解されて、コレステロールを主に含むLDLになる。レムナントVLDLのことをVLDLとLDLの間ということで中間型リポタンパク質(IDL)ということもある。
(4)LDLは肝臓で作られたコレステロールを末梢組織に運ぶことが役割であり、末梢組織の過剰なコレステロールを集めてまわり、肝臓の戻す役割を果たすものはHDLである。そのため、HDLは善玉コレステロールと呼ばれることもある。
(5)LDLはコレステロールを肝臓から末梢に運ぶことが主な役割だが、末梢に十分なコレステロールがあるときは肝臓に帰ってくる。このときLDLは肝細胞表面の受容体に結合し、エンドサイトーシスにより受容体ごと細胞内に取り込まれる。食事中の飽和脂肪酸が増加すると肝臓のLDL受容体の機能が低下してLDLが血液中に停滞するようになり、血清コレステロール値が上昇する。
正解(5)