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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

30-25 主な症候に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)腋窩温は、直腸温より高い。
(2)チアノーゼは、血液中の二酸化炭素濃度が低下した時にみられる。
(3)喀血は、消化管からの出血である。
(4)黄疸は、血液中のビリルビン濃度の上昇により生じる。
(5)仮面高血圧は、診察室血圧が高血圧である。

(1)× 腋窩温は、直腸温より低い。
 体温は、直腸温>口腔温>腋窩温である。
 身体の表面(殻)の温度は環境温に影響され、30~37℃で変化するが、身体の深部(芯)の温度は環境温の影響を受けにくい。体温は、芯の温度のことをいう。体温は、通常37℃であるが種々の要因で変化する。腋窩温は、体温計を腕と胸郭の挟み込むことにより、腋窩の部分が芯に近い温度になることにより体温を測定する。腋窩温は、平均36.6℃である。口腔温は、腋窩より芯に近くなるので、腋窩温より0.2~0.5℃高くなる。直腸温は、さらに芯に近いので、腋窩温より0.5~1.0℃高くなる。

(2)× チアノーゼは、血液中の参加ヘモグロビン濃度が低下した時にみられる。
 酸素が結合した酸化ヘモグロビン(動脈血)は、鮮やかな赤色をしている。一方、酸素を放出した還元ヘモグロビン(静脈血)は、暗紫色である。けがをすると動脈血が流れ出てくるので赤い血が出てくる。病院で静脈血を採血してもらった人はわかると思うが、血液は赤色ではなく暗紫色である。チアノーゼ(cyanosis)は、皮膚や粘膜が暗紫色になることを言う。シアン(cyan-)は、藍色という意味である。何らかの理由により、酸化ヘモグロビンが減少し、還元ヘモグロビンが5ℊ/㎗以上になったときに出現する。

(3)× 喀血は、呼吸器からの出血である。
 呼吸器からの出血を、口から吐き出すことを喀血という。消化器からの出血を、口から吐き出すことを吐血という。

(4)〇 黄疸は、血液中のビリルビン濃度の上昇により生じる。
 黄疸とは、血液中のビリルビン濃度が上昇し、皮膚、粘膜が黄染した状態をいう。血中総ビリルビン濃度の基準値は、0.3~1.2㎎/㎗以下である。2.0~3.0㎎/㎗以上で皮膚が黄染するので、顕性黄疸という。1.2~1.9㎎/㎗では皮膚の黄染はないので、潜在性黄疸という。

(5)× 仮面高血圧は、家庭血圧が高血圧であり、診察室血圧が正常血圧である。
 家庭血圧が正常血圧で、診察室血圧が高血圧の場合、白衣高血圧という。診察室での緊張により血圧が上昇すると考えられ、高血圧治療の対象にはならない。仮面高血圧は、日常生活のストレスにより高血圧になっているが、診察室では医療機関にいることにより安心して血圧が低下すると考えられている。仮面高血圧は、治療が必要な高血圧患者を見逃す可能性があるので注意が必要である。

正解(4)
by kanri-kokushi | 2016-07-06 13:28 | 第30回国家試験 | Comments(0)