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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

3144 感染症に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1)大腸菌は、グラム陽性菌である。

2)麻疹の感染経路は、経口感染である。

3)結核は、再興感染症である。

4)重症急性呼吸器症候群(SARS)の病原体は、真菌である。

5)梅毒の病原体は、クラミジアである。


1)× 大腸菌は、グラム陰性菌である。

 グラム染色は、ハンス・グラムという人が開発した細菌の染色法である。細菌には、グラム染色で染まるグラム陽性菌と、染まらないグラム陰性菌がある。グラム陽性菌には、黄色ブドウ球菌、溶血連鎖球菌、肺炎球菌などがある。グラム陰性菌には、大腸菌、緑膿菌、赤痢菌、スピロヘータなどがある。


2)× 麻疹の感染経路は、飛沫感染である。

 感染経路は接触感染(直接接触、間接接触)、空気感染(飛沫感染、塵埃感染)、経口感染、経皮感染、経胎盤感染に分類される。接触感染には感染者にキス・性交などで直接接触する場合と、汚染されたタオルなど間接的に接触する場合がある。空気感染には近距離で唾液がかかるなどの飛沫感染、病原体を含む埃を吸い込むなどの塵埃感染がある。経口感染は汚染された水や食物を摂取して消化管から感染するものである。経皮感染には、ダニや蚊など節足動物を媒介とする感染や汚染された注射器の使用による感染が含まれる。経胎盤感染は母親から胎児への垂直感染である。

 麻疹は、通称「はしか」と呼ばれ、空気感染(飛沫感染)により伝染する。


3)○ 結核は、再興感染症である。

 1970年以降に発見された新たな感染症を新興感染症という。主な新興感染症はレジオネラ(在郷軍人病)、エボラ出血熱、大腸菌O-157AIDSSARSなどである。

 1969年以前からその存在を知られていたが、最近、発症の増加が問題になっている感染症を再興感染症という。主な再興感染症は結核、マラリア、コレラ、ペストなどである。


4)× 重症急性呼吸器症候群(SARS)の病原体は、コロナウイルスである。

 重症急性呼吸器症候群(SARS, severe acute respiratory syndrome)は、200211月に最初の患者が出現して、数ヶ月のうちに26カ国で8,000人以上が発症し、774人が死亡した。原因は、新型のコロナウイルスである。それまでに知られていたコロナウイルスはかぜを起こすだけであった。これまでヒトとの接触がなかった動物が持っていたウイルスがヒトに感染したと考えられている。


5)× 梅毒の病原体は、スピロヘータ(細菌)である。

 梅毒は、スピロヘータの1種である梅毒トレポネーマの感染によって発症する。スピロヘータは、らせん状の形態をした細菌である。

 性交渉により感染し、外性器や内性器に病変を起こすものを古典的性病といい、梅毒、淋病、軟性下疳、鼡径リンパ肉芽腫の4つが含まれる。これ以外の疾患で、性交渉が感染経路になるものを含めて性行為感染症(STD,sexually transmitted diseases)という。STDには、クラミジア感染症、性器ヘルペス、B型肝炎、HIV感染症、膣カンジダ症、毛じらみなどが含まれる。STDのなかには、性器に病変を作らないものもある。


正解(3


by kanri-kokushi | 2017-09-15 12:45 | 第31回国家試験 | Comments(0)