2017年 12月 12日
臨床栄養学
31-138 消化管手術後の病態とその栄養管理の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)食道がんの術後 - 少量頻回食
(2)胃切除後の早期ダンピング症候群 - 高炭水化物食
(3)胃切除後の後期ダンピング症候群 - 低カリウム食
(4)小腸の大量切除後 - 低たんばく質食
(5)S状結腸がんの術後 - 水分制限
(1)○ 食道がんの術後 - 少量頻回食
食道の通過障害があるため、少量頻回食とする。
(2)× 胃切除後の早期ダンピング症候群 - 低炭水化物食、小量頻回食
早期ダンピング症候群は、食物が直接空腸に流入することにより、高浸透圧刺激と急激な腸管の拡張刺激により、神経内分泌反応を引き起こす。食後10~30分後に腹部症状として腹痛、悪心、嘔吐、腹鳴、下痢などが出現し、全身症状として動悸、発汗、冷や汗、めまい、呼吸困難、失神などが出現する。栄養管理は、高浸透圧を押さえるため、糖質を控えて、たんぱく質、脂肪は十分に取る。1回摂取量を少なくすし、小量頻回食(1日5~6食)とする。水分は食間に取る。
(3)× 胃切除後の後期ダンピング症候群 - 低炭水化物食、小量頻回食
後期ダンピング症候群は、糖質の急速な吸収による高血糖(1時間以内)が原因でインスリン過剰分泌が起こり、反応性低血糖を起こす。食後90分~3時間後に、脱力感、めまい、冷や汗、動悸、手の震え、意識障害など低血糖症状が出現し、30~40分持続する。Kを制限する理由はない。反応性低血糖を予防するため、糖質の摂取を控え、小量頻回食(1日5~6食)とする。また、食後1~2時間に適当な間食をとる。
(4)× 小腸の大量切除後 - 経腸栄養と静脈栄養
小腸を大量切除することにより、残った小腸が短くなり、栄養素を吸収する面積が狭くなるので、消化吸収障害が出現することを短腸症候群という。一般に、小腸の70~80%が切除されると、消化吸収障害による栄養障害が出現する。小腸の長さは、小児で200~250㎝、成人で500~600㎝なので、短腸症候群の診断基準としては、小児で75㎝以下、成人で150㎝以下が用いられている。術後早期は、下痢により多量の水と電解質が失われ、栄養素の消化吸収障害が著しいので、中心静脈栄養法(TPN)を実施する。術後1~3か月には、残存腸管の機能が亢進し、下痢が治まってくるので、経腸栄養法を導入することにより、残存腸管粘膜の機能改善を図る。
(5)× S状結腸がんの術後 - 十分な水分を補給
便秘を予防するため、十分な水分を補給する。
正解(1)