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臨床栄養学

17-16.栄養補給法についての記述である。正しいのはどれか。
(1)末梢静脈栄養では、脂肪やアミノ酸の補給はできない。
(2)中心静脈栄養では、ブドウ糖液は10%未満とする。
(3)成分栄養剤は経鼻チューブによる投与専門として用いられる。
(4)成分栄養剤の窒素源成分はタンパク質である。
(5)経腸栄養法では、牛乳や鶏卵などの食品も利用される。

経腸栄養法と経静脈栄養法の管理はNSTの主要な業務である。NSTに参加する管理栄養士は当然これらで使用される栄養剤の種類、成分、特徴を熟知しておく必要がある。

(1)(2)まずは、静脈栄養剤から話を始めよう。静脈栄養剤は、糖質と電解質を含む基本液アミノ酸製剤脂肪乳剤を加えて使用する。さらに、ビタミン微量元素を加えることもある。アミノ酸製剤のアミノ酸組成は人乳やアルブミンのアミノ酸組成を基にしたFAO/WHO基準が基本になるが、病態に応じてさまざまなアミノ酸組成の製剤が作られている。アミノ酸製剤は10~12%の水溶液で提供され、末梢静脈から点滴で投与できる。脂質を遊離脂肪酸で投与すると浸透圧が高くなりすぎるので、大豆油を原料とし、卵黄レシチンで乳化、グリセリンで等張化したものが開発されて利用されている。脂肪乳剤は血中でHDLからアポリポタンパク質を受け取り、キロミクロンと同様の代謝を受けるとされている。従来の製剤ではn-6系長鎖脂肪酸の含有量が多かったが、近年、n-3系中鎖脂肪酸の含有量の多い製剤など脂質の機能を重視した製剤が開発されている。脂肪乳剤も末梢静脈から点滴で投与可能である。基本液のグルコース濃度を10%以上に上げると、血管痛、血栓性静脈炎が出現(2~3日)することから、末梢静脈栄養のみで1日に必要なエネルギーを投与するには5,000~8,000 mlの水分が必要になることから、末梢静脈栄養だけで長期間栄養療法を行うことはできない。中心静脈栄養では15~30%のブドウ糖液が使用される。

(3)(4)(5)次に、経腸栄養剤の話をしよう。まず、経腸栄養剤の投与経路だけど、経鼻チューブだけでなく、胃瘻チューブや空腸瘻チューブを使って、胃や空腸に直接投与することができる。また、食事はできるけど摂取量が不十分な患者さんに、栄養補助食品として自分で飲んでもらうこともできる。最近は味のよい製品がいろいろ開発されている。このような製品に関する最新の情報をつかむのもNSTに参加する管理栄養士の役割だ。経腸栄養剤は、天然濃厚流動食半消化態栄養剤消化態栄養剤成分栄養剤に分類される。それぞれの原料、栄養素の配分、残渣の量、流動性、医薬品と食品の区別、味など、ここでは書ききれないので必ず教科書で調べてまとめておこう。ちなみに成分栄養剤の窒素源成分は結晶アミノ酸が使用される。牛乳や鶏卵などの天然の食品は天然濃厚流動食で使用される。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2006-02-16 11:31 | 第17回国家試験 | Comments(0)