人気ブログランキング | 話題のタグを見る

病理学

17-93.循環器ならびに血液の障害とその病態についての組合せである。正しいのはどれか。
(1)肺梗塞 - 貧血性梗塞
(2)心筋梗塞 - 出血性梗塞
(3)左心不全 - うっ血性肝硬変
(4)溶血性貧血 - 脳出血
(5)敗血症 - 播種性血管内凝固症候群

(1)(2)まずは、「梗塞」から。「硬塞」は間違いだから注意しよう。「梗」とは硬いとげがつかえて道をふさいだ状態をいう。「塞」はふさがることをいう。つまり、梗塞とは、動脈に血栓が詰まってその動脈が支配している組織が虚血性に壊死を起こすことをいう。肺に分布する動脈が閉塞して肺に虚血性壊死が起これば肺梗塞。心臓に分布する動脈が閉塞して心筋に虚血性壊死が起これば心筋梗塞というぐあいだ。梗塞部位では出血が起こるが、充実性の臓器で出血量が少なく、肉眼で白色に見える場合を貧血性(白色)梗塞という。心筋、腎臓、脾臓など終末動脈(吻合の少ない動脈)で梗塞が起こったときにみられる。非充実性臓器の場合で梗塞部位での出血が多いと、肉眼で赤く見える場合を出血性(赤色)梗塞という。中空の肺、腸間膜などが出血性梗塞の代表である。

(3)心不全では心臓から十分に血液が送り出されない。すると、静脈系に血液がうっ滞する。左心不全では肺静脈系に、右心不全では全身の静脈系にうっ滞が起こる。右心不全では肝臓にもうっ血が医こる。重症では、肝細胞の壊死、線維化が進んでうっ血性肝硬変になる。

(4)溶血性貧血は、何らかの理由により赤血球の寿命が短縮して赤血球の破壊が亢進して貧血なることをいう。脳出血は、能に分布する血管が破綻して、脳実質組織に出血を起こすことをいう。両者の間に、特に因果関係などはない。

(5)敗血症とは、感染に対する全身反応で、高熱(または低体温)、頻脈、呼吸数増加、白血球数の増加(または低下)、乏尿、血圧低下、ショックなど重篤な症状を呈するものである。従来は、皮膚・粘膜や諸臓器の感染巣から細菌そのもの、または細菌毒素が血液中に侵入して症状を起こすと考えられていたが、現在は、血液培養で起炎菌が検出できるかどうかは問わないことになっている。播種性血管内凝固症候群(DIC)とは病名のごとく、全身の血管内で血液が凝固する病気だ。血液が凝固するということは血液中の血小板と凝固因子が消費されるということだ。その結果、血液中の血小板と凝固因子が減少して、「出血傾向」を引き起こす。血管内で血液が凝固する原因はいろいろあって、例えば、組織の破壊により組織トロンボプラスチンが血液中に流入することによって起こることがある。また、敗血症では、細菌が産生するエンドトキシンが血栓形成を促進する場合もある。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2006-03-24 15:05 | 第17回国家試験 | Comments(0)