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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

20-45.関節の構造と疾患に関する記述である。正しいものの組合せはどれか。
a 関節液の主成分は、ヒドロキシアパタイトである。
b 関節軟骨には、コラーゲンが豊富に存在する。
c 変形性関節症では、関節軟骨に変性がみられる。
d 変形性関節症は、若年女性に好発する。
(1)aとb(2)aとc(3)aとd(4)bとc(5)cとd

変形性関節症も新しい出題ガイドラインで加わったものだ。

①関節軟骨
関節には2つの骨の連結面に関節腔が存在する。一般に関節を構成する骨は一方(関節頭)が突出し、他方(関節窩)がくぼんでいる。骨の関節面は薄い関節軟骨で覆われている。軟骨基質はゲル状のプロテオグリカンコンドロイチン硫酸など)と線維成分膠原線維弾性線維)からなっているが、その割合により、硝子軟骨線維軟骨弾性軟骨に分類される。関節軟骨は硝子軟骨であることから、コラーゲンを含んでいることは事実だが、線維軟骨に比べれば、コラーゲンが「豊富」とはいえない。問題文は何を基準に豊富といっているのだろうか?判断に迷うのでちょっと保留しておこう。ちなみに関節半月は線維軟骨なので、間違いなくコラーゲンが「豊富」である。

②関節液
関節は関節包で覆われていて、その内腔を関節腔という。関節腔の内面は滑膜で覆われていて、関節の潤滑油の役割をする関節液滑液)を分泌する。関節液の主成分はヒアルロン酸であり、ねばねば、ぬるぬるしている。

③変形性関節症
関節面の関節軟骨が薄くなり線維化、断裂などが出現する一方、辺縁の骨や軟骨が不規則に増殖して骨棘を形成して関節の変形をきたす疾患である。40~50歳代の女性に多く、膝関節(最も多い)、股関節、肘関節、足関節などに起こる。自覚症状として、慢性の関節痛、可動域の制限など、他覚症状として関節の腫脹、炎症、関節水腫(関節腔に水がたまる)などがある。診断は症状と関節X線検査によって行う。関節痛に対しては消炎鎮痛薬やシップ薬を使用する。関節を支える筋肉の強化や体重減少などによる関節への負担の減少も有効な治療法である。関節へのヒアルロン酸注入を行う場合もある。重症の場合は、手術療法(骨切り術、人工関節置換術)を行う。

ヒドロキシアパタイトとは水酸化リン酸カルシウムのとこで、骨や歯に沈着するCaの主成分である。問題文のうち、aとdは明らかに誤っているので、答えはbとcになる。

正解(4)
by kanri-kokushi | 2006-05-02 09:07 | 第20回国家試験 | Comments(0)