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臨床栄養学

20-147.小児疾患に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)周期性嘔吐症では、白色水様便がみられる。
(2)周期性嘔吐症では、乳児期に好発する。
(3)乳児下痢症の重症度の判定は、体重減少率を用いる。
(4)重症の乳児下痢症では、経口栄養とする。
(5)周期性嘔吐症は、たんぱく尿を伴う。

①周期性嘔吐症とは?
 別名、自家中毒症、アセトン血性嘔吐症ともいう。突然、嘔吐を繰り返すが、嘔吐の原因になる明らかな器質的病変が認められない。2~10歳の幼児・小児に発症する。情緒不安定な小児に多いことから心因反応の一種とする考え方もあるが、原因は不明である。
 特徴的な病態はケトン体の産生過剰で、アセトン臭の口臭、アセトン尿、血中ケトン体濃度上昇が認められる。下痢を起こすことはないので、白色水様便はみられない。白色水様便(米のとぎ汁様の水様便)はコレラの下痢の特徴である。器質的な病変は認めないことが特徴なのでタンパク尿が見られることもない。
 治療の原則は、水、糖質、電解質の補給である。嘔吐がおさまっていれば経口補液飲料を与える。嘔吐が1日以上続き、経口摂取が困難な場合は点滴で補液する。嘔吐、ケトーシスなくなれば経口投与を開始するが、糖質→タンパク質→脂質の順に摂取量を増やすようにする。

②乳児下痢症とは?
 別名、消化不良症ともいう。原因はウイルス性が多く、特にロタウイルス感染によるものが多い。年年長児に起こるウイルス性の急性胃腸炎と同じであるが、乳児に起こった場合、下痢による脱水やアシドーシスなど全身状態への影響が出やすい。体重減少率で脱水の程度を知ることができるので、重症度は体重減少率でみる。
 治療の原則は、経口または点滴による水と電解質の補給である。軽症の場合は、希釈した調整乳を投与し、下痢が治まるまで低脂肪食とする。中等症・重症の場合は絶食とし、点滴を行う。

正解(3)
by kanri-kokushi | 2006-07-12 19:23 | 第20回国家試験 | Comments(0)