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応用問題

 40歳健常男性、身長170cm、体重68kgの推定エネルギー必要量(EER)は2,250kcal、たんぱく質摂取量は55gであった。たんぱく質の推定平均必要用量(EAR)は0.74g/kg、推奨量(RDA)は0.93g/kgである。
20-191.たんぱく質摂取量に関して正しいのはどれか。
(1)過剰であった。
(2)適切であった。
(3)不足の危険率は50%未満であった。
(4)不足の危険率は50%以上であった。
(5)不足であった。

 タンパク質について2つの数字が示されている。EARとRDAだ。EARは読んで字のごとく、母集団の平均値であることから、その集団に属する50%の人が必要量を満たすと推定される摂取量である。RDAはEARに推奨量算定係数をかけることによって、母集団に属する97~98%が充足していると考えられる量である。
 まず、この人のERAを計算すると0.74×68=50.32gになる。この人は55g摂取しているのだから、50%以上の確率で必要量を満たしていると考えられる。「不足の危険率」ということは不足している可能性が高いか低いかということだから、この人は充足している可能性がたかいのだから、「不足の危険率は50%未満」ということになる。
 次に、この人のRDAを計算すると0.93×68=63.24gになる。よって、この人のたんぱく質摂取量が適切である確率は50~97%の間ということになる。結局、わかるのは確率であって、「適切であった」とか「不足であった」とか断定的な表現はできないということだ。そういわれればそのとおりだけど、確率でいわれてもなんとなく釈然としないね。

正解(3)

20-192.脂質摂取量で最も望ましいのはどれか。
(1)85g
(2)75g
(3)65g
(4)55g
(5)45g

 脂質摂取量について、「日本人の食事摂取基準2005年版」では、脂肪エネルギー比率の目標量(上限、下限)、飽和脂肪酸の目標量(上限、下限)、n-6系脂肪酸の目安量、目標量(上限、下限)、n-3系脂肪酸の目安量、目標量(上限、下限)、食事性コレステロールの目標量(上限)が設定されている。
 脂肪エネルギー比率は1~29歳が20~30%、30~69歳が20~25%、70歳以上が15~25%である。EERが2,250kcalなので、まず、目標量下限を計算すると2,250×0.2÷9=50gになる。この計算方法で迷う人はいないよね。次に、目標量上限を計算すると2,250×0.25÷9=62.5gになる。つまり、この人の脂質摂取量は50~62.5gが適切であるということだ。選択肢の中では(4)55gがこの範囲の真ん中あたりに入るので最も望ましいということになる。

正解(4)
by kanri-kokushi | 2006-08-08 11:14 | 第20回国家試験 | Comments(0)