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生化学

17-103.アミノ酸代謝に関する記述である。正しいものの組合せはどれか。
a アミノ酸の炭素骨格は、最終的には二酸化炭素と水に代謝される。
b 糖原性アミノ酸は、糖新生経路によってグルコース合成に利用される。
c アラニンは、ケト原性アミノ酸である。
d アミノ基転移反応は、細胞内では行われない。
(1)aとb(2)aとc(3)aとd(4)bとc(5)cとd

①アミノ酸の異化
 糖質や脂質は体内にグリコーゲンや中性脂肪として貯蔵できる。しかし、アミノ酸をタンパク質として体内に貯蔵することはできない。余分なタンパク質は分解して体外に排泄する。これをアミノ酸の異化という。アミノ酸の異化は、まず、アミノ基を取り去ることから始まる。アミノ基を取り除く反応にはアミノ基転移反応脱アミノ反応がある。アミノ酸からアミノ基を取り去った残りの部分を炭素骨格(化学的にはα-ケト酸という)という。どのアミノ酸が分解されるにしろ、α-ケト酸は解糖またはクエン酸回路に入り、最終的には水と二酸化炭素に分解される。よって、aは○。

②炭素骨格の行く末
 体のエネルギー源が足りなくて、アミノ酸を燃やしてエネルギーを得るには、炭素骨格を水と二酸化炭素にまで分解されることになる。これ以外に、アミノ酸の利用方法として、体内の糖質や脂質が足りないとき、アミノ酸を材料にして糖質や脂質を作る方法がある。アセチルCoAは脂肪酸合成の材料になるが、グルコース合成(糖新生)の材料になることはできない。理由はちょっと詳しい教科書を見て調べてみよう。分解されてアセチルCoAになるアミノ酸は脂肪酸合成の材料になるのでケト原性アミノ酸である。それ以外の場所に入ってくるアミノ酸はグルコース合成の材料になることができるので糖原性アミノ酸である。リシンとロイシンはケト原性アミノ酸であり、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、イソロイシンはケト原性アミノ酸と糖原性アミノ酸の両方の性質を持つ。それ以外のアミノ酸は糖原性アミノ酸である。アラニンはもちろん糖原性アミノ酸である。筋肉から放出されたアラニンは肝臓でピルビン酸になって、糖新生によりグルコースになり、再び筋肉に返っていく。これをグルコース・アラニン回路という。よって、bは○、cは×。

③アミノ基の行く末
 アミノ酸から取り去れたアミノ基は、最終的には肝臓に運ばれて、尿素回路クレブス・ヘンゼライト回路オルニチン回路ともいう)によって、尿素に変換されて尿中に排泄される。よって、尿中の尿素窒素を測定することにより体内で異化されたタンパク質の量を測定することができる。アミノ基転移反応は細胞内で起こるので、dは×。

正解(1)
by kanri-kokushi | 2006-08-28 17:23 | 第17回国家試験 | Comments(0)