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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

21-25 糖質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)アセチルCoAは、糖新生のための基質となる。
(2)ヘキソキナーゼは、解糖系の酵素である。
(3)クエン酸回路には、基質と酸素分子が反応する過程がある。
(4)グリコーゲンの加リン酸分解による生成物は、グルコースである。
(5)ペントースリン酸回路の代謝過程で、NADが生成する。

①解糖系と糖新生は別物
 グルコースからピルビン酸ができるまでが解糖系である。解糖系の最初の反応、グルコースからグルコース-6-リン酸を生成する酵素がヘキソキナーゼである。「ヘキソ」は「ヘキサ」のことで6という意味だ。ちなみに「ヘキサゴン」は六角形のこと。グルコースなど6つの炭素を持っている糖をヘキソース(六炭糖)という。ヘキソースにリン酸をくっつける酵素だからヘキソキナーゼというわけだ。キナーゼはリン酸化酵素のこと。
 ピルビン酸はピルビン酸脱水素酵素の作用でアセチルCoAになる。アセチルCoAはオキサロ酢酸と反応してクエン酸になり、クエン酸回路に入る。
 さて、糖新生だが、糖新生が解糖系の単純な逆反応ではないことは口を酸っぱくして言ってきた。糖新生の出発点はオキサロ酢酸で、これがホスホエノールピルビン酸になって、後は解糖系を遡っていく。糖新生では解糖系とは異なる酵素が3つ(ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、フルクトースビスホスファターゼ、グルコース-6-ホスファターゼ)あるが、これについては教科書で復習しておこう。
 さて、アセチルCoA。アセチルCoAはクエン酸回路に入って、グルッと回ってオキサロ酢酸になる。ということは、アセチルCoAからグルコースができるか?残忍ながらできない。1つのアセチルCoAがクエン酸回路に入るためには1つのオキサロ酢酸がいる。ということは、アセチルCoAからできたオキサロ酢酸は、次のアセチルCoAをクエン酸回路に入れるために利用されるので、結局、アセチルCoAからできるオキサロ酢酸を糖新生には使えないということだ。

②クエン酸回路の化学反応
 電子伝達系の電子の最終的な受け取り手が酸素分子である。クエン酸回路では8つの化学反応があるが、基質が酸素分子と反応することはない。

③加リン酸分解って何?
 グリコーゲンを分解してグルコース-1-リン酸を生成する酵素はホスホリラーゼである。グリコーゲンのα-1,4結合は2つの水酸基(OH)から水が1分子とれてできたものだ。よって、加水分解するとグルコースができる。水ではなくリン酸を加えてグリコーゲンの結合のα-1,4結合を切断するのが加リン酸分解だ。グルコース-1-リン酸はグルコース-6-リン酸になって、グルコース-6-ホスファターゼの作用でリン酸がとれてグルコースになる。

④ペントースリン酸回路の役割
 ペントースリン酸回路が存在する理由は何か?それは脂肪酸合成に必要なNADPHと核酸の合成に必要なペントースを産生することである。これだけは絶対にお覚えておこう。NADPHはNADHとよく似ていて、どちらも酸化還元反応の補酵素として働くが、利用する酵素は厳格に使い分けている。

正解は(2)
by kanri-kokushi | 2007-05-07 20:37 | 第21回国家試験 | Comments(0)