2008年 05月 08日
臨床栄養学
a カルシウム摂取量が不足すると、ミルク・アルカリ症候群を引き起こす。
b 原発性副甲状腺機能亢進症では、低カルシウム血症を認める。
c ビタミンD欠乏症は、骨軟化症の原因となる。
d 低カルシウム血症は、テタニーを引き起こす。
(1)aとb(2)aとc(3)aとd(4)bとc(5)cとd
①ミルク・アルカリ症候群
昔、胃潰瘍の治療に牛乳が使われていた。そのうち、胃潰瘍の原因は胃酸だということで制酸剤(重炭酸Naなどアルカリ化薬)が使われるようになった。両方飲めばきっと良く効くだろうということで、大量の牛乳とアルカリ化薬を合わせて長期間服用すると意外な副作用が生じた。牛乳に含まれる多量のCaにより、上皮小体からのパラソルモンの分泌が減少する。するとリン酸の排泄が減少して高リン酸血症になる。その結果リン酸Caが組織に沈着する。腎臓に沈着すると腎臓の機能が低下する。その結果、重炭酸イオンの排泄が障害されてアルカローシスになる。これがミルク・アルカリ症候群だ。Caと重炭酸イオンを炭酸Caとして、大量に長期間摂取すれば、牛乳を飲まなくてもミルク・アルカリ症候群が出現する。
②原発性副甲状腺機能亢進症
副甲状腺とは上皮小体のこと。ここから分泌されるホルモンはパラソルモン。パラソルモンは血清Ca濃度の低下が刺激になって分泌されて、骨吸収の促進、尿細管での再吸収促進、ビタミンD活性化促進を介する腸管からのCa吸収促進により、血清Ca濃度を上昇させる。
③骨軟化症
長管骨の骨端軟骨が閉鎖する前の小児にビタミンD欠乏が起こると「くる病」になる。骨端軟骨が閉鎖した成人にビタミンD不足が起こると骨軟化症になる。
④テタニー
テタニーとは、低Ca血症が原因で起こる筋肉のけいれんのこと。手のけいれんが起こったときの指の形が、膣の内診を行うときの手の形に似ているので「産科医の手」と呼ばれる。
正解(5)