人気ブログランキング | 話題のタグを見る

臨床栄養学

21-139 高血圧症の栄養指導に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)肥満を合併する場合は、BMI 25未満をめざす。
(2)たんぱく質摂取量は、約0.5g/標準体重kg/日とする。
(3)ナトリウム摂取量を、6g/日以下にする。
(4)無酸素運動を、毎日合計30分間行う。
(5)アルコール摂取量は、エタノール換算で100g/日以下とする。

①高血圧症の発症に関係する生活習慣
(1)食塩(NaCl)過剰摂取:過剰な食塩摂取は細胞外液量を増加させ、心拍出量が増加するので血圧が上昇する。食塩と血圧の関係は圧利尿曲線で説明することもできる。つまり、たくさんの腎臓からのNa排泄と血圧には正の相関があるということだ。1日に最低限必要な食塩は1g以下といわれているので、現状では全員が過剰摂取をしている。
(2)K摂取不足:KはNaの排泄を促進することに加えて、交感神経抑制作用、血管拡張作用により血圧を低下させる。
(3)肥満:体液量の増加による心拍出量の増加、インスリン抵抗性によるNO産生低下、高インスリン血症によるNa再吸収増加、レプチン分泌増加による交感神経緊張作用などが合わさって血圧が上昇する。
(4)飲酒習慣:アルコールは、血管拡張作用により一過性に血圧を低下させるが、飲酒習慣は血圧を上昇させる。その根拠は、アルコール飲酒量が多いほど高血圧の人が多いという疫学データと、禁酒により血圧が下がるという臨床介入データによる。メカニズムはよくわかっていない。
(5)運動不足:肥満、インスリン抵抗性などにより血圧を上昇させる。
(6)ストレス:交感神経の緊張を介して血圧を上昇させる。

②高血圧症治療のための生活習慣の是正(高血圧ガイドライン2004)
 高血圧ガイドライン2004には、生活習慣の修正として以下のものがあげられている。
(1)食塩摂取の軽度制限:前のガイドラインでは7g/日だったが、今回6g/日になった。
(2)適正体重の維持:BMIを18.5~25の間にする。
(3)飲酒制限:エタノールで、男性20~30ml/日、女性10~20ml/日とする。
(4)脂質制限:コレステロール、飽和脂肪酸の摂取を制限する。
(5)野菜・果物の積極的摂取:K摂取の増加。根拠は、アメリカのDASH Dietの成功。DASHについては、時間があるときに調べてみよう。
(6)運動習慣:有酸素運動が勧められている。
(7)禁煙:喫煙はニコチンによる交感神経刺激作用により、一時的に血圧を上げるが、長期作用として高血圧を引き起こす証拠はない。しかし、動脈硬化症の重要な危険因子なので原則として禁煙とする。時々、本数を減らすということをいう人がいるが、禁煙においてそれは意味がない。本数を減らすことが、禁煙を成功させる有効な方法であるという証拠はない。

正解は(1)
by kanri-kokushi | 2008-06-20 18:58 | 第21回国家試験 | Comments(0)