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28-46 性周期に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)排卵後、卵胞は白体から黄体へと変化する。
(2)プロゲステロンは、子宮内膜を増殖・肥厚させる。
(3)プロラクチンは、排卵を誘発する。
(4)卵胞期に、エストロゲンの分泌が高まる。
(5)黄体期に、基礎体温は低下する。

(1)× 排卵後、卵胞は黄体から白体へと変化する。
 卵胞は、1個の卵細胞とそれを包む卵胞上皮細胞からなる。すべての原始卵胞は、胎生期につくられる。原始卵胞は、思春期までは成熟することなく卵巣内で静止している。月経周期のはじめに複数の卵胞が発育を始めるが、そのうち1つの卵胞だけが成熟卵胞になり、その他は萎縮する。卵胞の成熟につれて、単層であった卵胞上皮細胞は増殖して多層となる。最終的には卵細胞を包む内卵胞膜、その外側を包む外卵胞膜を形成し、中に卵胞液を含む成熟卵胞(グラーフ卵胞)となる。卵胞は、卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌する。グラーフ卵胞は、破裂して、卵子を腹腔内に放出(排卵)する。排卵された卵子は、卵管に取り込まれて子宮に運ばれる。排卵後の卵子の寿命は、受精が起こらなければ12~24時間である。卵細胞を失った卵胞は、黄体となり、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌する。黄体は、着床が行われない場合は排卵後6~8週で消滅し、瘢痕である白体となる。

(2)× エストロゲンは、子宮内膜を増殖・肥厚させる。
 月経終了から約2週間は、卵胞刺激ホルモン(FSH)の作用で卵胞が成熟する。卵胞からは、卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌され、子宮内膜を増殖・肥厚させる。これを子宮内膜の増殖期といい、卵巣の卵胞期に一致する。月経終了後14日目頃エストロゲン分泌がピークに達すると、エストロゲンの正のフィードバック作用により黄体形成ホルモン(LH)の急激な分泌増加(LHサージ)が起こる。LHサージは、排卵を起こす。排卵後の卵胞は、黄体を形成する。黄体から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)は、肥厚した子宮内膜を維持し、受精卵が着床するのに適した状態を作り出す。これを子宮内膜の分泌期といい、卵巣の黄体期に一致する。妊娠が起こらないときは、約2週間後に黄体が退化し、プロゲステロンの分泌が減少して子宮内膜を維持できなくなり、機能層の脱落が起こって月経(消退出血)となる。これを月経期という。

(3)× 黄体形成ホルモンは、排卵を誘発する。
 エストロゲンの正のフィードバック作用によって引き起こされる黄体形成ホルモン(LH)の急激な分泌増加(LHサージ)が排卵を起こす。

(4)〇 卵胞期に、エストロゲンの分泌が高まる。
 卵胞期には、卵胞上皮細胞からエストロゲンの分泌が高まる。黄体期には、黄体からプロゲステロンの分泌が高まる。

(5)× 黄体期に、基礎体温は上昇する。
 黄体期に、黄体から分泌されるプロゲステロンは体温を上昇させる作用がある。よって、基礎体温は、排卵後の黄体期に高温期となる。

正解(4)
# by kanri-kokushi | 2015-01-28 13:54 | 第28回国家試験 | Comments(0)

28-45 運動器疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)骨粗鬆症は、若年男性に好発する。
(2)クッシング症候群は、骨粗懸症の原因となる。
(3)やせは、変形性関節症のリスク因子である。
(4)ビタミンA欠乏は、骨軟化症の原因となる。
(5)ビタミンK欠乏は、くる病の原因となる。

(1)× 骨粗鬆症は、閉経後の女性に好発する。
 骨粗鬆症は、全身的に骨量が減少し、骨微細構造の変化が起こり、その結果、骨脆弱性が増大し、骨折の危険性が高まった状態をいう。骨組織中のミネラル成分と非ミネラル成分の比率が、著しく低下することはなく、骨の質的変化は少ない。骨量は、16~18歳で最大骨塩量に達し、30~40歳以後、加齢とともに減少するので、加齢とともに発症数は増加する。危険因子として、低栄養、低体重、高年齢、女性、運動不足、喫煙、過度のアルコール摂取、カルシウム摂取不足、ビタミンD不足、ビタミンK不足、女性ホルモン不足状態などがある。閉経によりエストロゲン不足となり、骨吸収が亢進するものを、閉経後骨粗鬆症という。ビタミンKは、骨芽細胞のオステオカルシン産生、石灰化促進作用、骨吸収抑制効果があるので、ビタミンK欠乏は骨粗鬆症の危険因子になる。オステオカルシンは、骨の非コラーゲン性たんぱく質の25%を占め、骨の石灰化に関与している。

(2)〇 クッシング症候群は、骨粗鬆症の原因となる。
 クッシング症候群は、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールを過剰分泌する疾患である。コルチゾールは、腸管でのCa吸収の抑制、腎でのCa再吸収抑制により、二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こす。骨組織に対しても、骨芽細胞の活動を抑制し、破骨細胞の活動を亢進させる。その他、糖尿病では、インスリンの作用不足により骨芽細胞の活動が低下する。また、尿糖の排泄はCaの尿中排泄を促進し、二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こす。腎不全では、ビタミンD活性化の障害により、Ca吸収が低下して二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こす。胃切除後症候群では、胃酸の不足によりCaのイオン化が減少し、Ca吸収が低下して二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こす。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では、甲状腺ホルモンが破骨細胞を活性化する。

(3)× 肥満は、変形性関節症のリスク因子である。
 変形性関節症は、関節面の関節軟骨が薄くなり線維化、断裂などが出現する一方、辺縁の骨や軟骨が不規則に増殖して骨棘を形成して関節の変形をきたす。40~50歳代の女性に多く、膝関節(最も多い)、股関節、肘関節、足関節などに起こる。加齢、肥満、O脚などが、関節軟骨の劣化を促進する要因が危険因子になる。

(4)× ビタミンD欠乏は、骨軟化症の原因となる。
(5)× ビタミンD欠乏は、くる病の原因となる。
 くる病も、骨軟化症も、血清Ca濃度および血清P濃度の低下による、骨石灰化障害である。骨端線閉鎖前の小児に発症した場合をくる病といい、骨端線閉鎖後の成人に発症した場合を骨軟化症という。主な原因は、ビタミンD欠乏による小腸でのCa,Pの吸収障害である。ビタミンD欠乏になる主な原因は、閉塞性黄疸、慢性膵炎、胃切除後症候群、過剰な制酸剤服用、妊娠授乳、過剰な食物繊維摂取、過剰なリン摂取、腎不全、イタイイタイ病などである。イタイイタイ病は、カドミウム蓄積により、尿細管のCa再吸収が障害される。ビタミンA欠乏症は、夜盲症(暗順応不良)、眼球乾燥、皮膚乾燥、成長停止などを起こす。ビタミンK欠乏症は、溶血性貧血、皮膚硬化症、色素沈着、筋力低下、腱反射消失などを起こす。

正解(2)
# by kanri-kokushi | 2015-01-28 13:33 | 第28回国家試験 | Comments(0)

28-44 慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)喫煙は、リスク因子である。
(2)食欲は、増進する。
(3)呼吸機能検査では、拘束性障害のパターンを示す。
(4)動脈血中の酸素分圧は、上昇する。
(5)安静時エネルギー消費量(REE)は、減少する。

(1)〇 喫煙は、リスク因子である。
 COPDは、慢性気管支炎と肺気腫の病変がさまざまな程度に存在する疾患で、慢性の咳、痰、呼吸困難を主訴とし、緩やかに進行する不可逆的な疾患である。空気を吸い込むときは、肺が膨張するので、気道も開く。しかし、空気を吐き出すときは、肺が収縮するので、気道も押しつぶされて閉塞し、肺胞に入った空気を吐き出せなくなる。肺の中に残る空気(残気量)が増加して、肺の過膨張が起き、肺胞構造が破壊される。タバコや大気汚染などの障害性の物質に対して異常な炎症反応が起こり、非可逆性の気道閉塞が進行すると考えられている。

(2)× 食欲は、低下する。
 肺の過膨張により、横隔膜が押し下げられるために生じる腹部膨満感が生じ、食欲は低下する。

(3)× 呼吸機能検査では、閉塞性障害のパターンを示す。
 診断基準は、呼吸機能検査で、気管支拡張薬投与後の1秒率が70%未満である。その他、全肺気量の増加、残気量・機能的残気量の増加などが見られる。

(4)× 動脈血中の酸素分圧は、低下する。
 肺胞でのガス交換の障害により、動脈血ガス分析では、血中O2分圧の低下、血中CO2分圧の上昇が見られる。

(5)× 安静時エネルギー消費量(REE)は、増加する。
 努力して呼吸を行うために安静時エネルギー消費量が増加している。さらに食欲低下が加わって、たんぱく質・エネルギー欠乏症(protein energy malnutrition, PEM)をきたしやすい。腹部膨満感を予防するためには、少量頻回食とする。分岐鎖アミノ酸(branched chain amino acids、BCAA)の投与は、骨格筋量の減少を抑制する効果が期待できる。高脂質食は、呼吸商が低下し、CO2産生量が少なくなるので有利とする考え方もある。

正解(1)
# by kanri-kokushi | 2015-01-27 17:13 | 第28回国家試験 | Comments(0)

28-43 呼吸器系の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)横隔膜は、呼気時に収縮する。
(2)気管支平滑筋は、副交感神経の興奮で弛緩する。
(3)血中二酸化炭素分圧の上昇は、ヘモグロビンの酸素結合能力を増加させる。
(4)二酸化炭素は、血液中で重炭酸イオン(HCO3-)になる。
(5)1秒量とは、最大呼気位から最初の1秒間に吸入できる量である。

(1)× 横隔膜は、吸気時に収縮、呼気時に弛緩する。
 横隔膜は、胸部と腹部を隔てる骨格筋である。ドーム状の形をしており、筋線維は放射状に並んでいるので、収縮すると平になり、弛緩するとドーム状になる。胸腔内圧に比べて、腹腔内圧が高いので、腹腔の臓器に押し上げられて、上に凸のドーム状になる。横隔膜が収縮すると、腹部臓器を下に押し下げるので、胸郭内の体積が広くなり、肺が拡張し、空気が肺胞に流れ込んでくる。これを吸気という。横隔膜が弛緩すると、腹部臓器が横隔膜を押し上げるので、肺は収縮し、肺胞内の空気を吐き出す。これを呼気という。

(2)× 気管支平滑筋は、交感神経の興奮で弛緩する。
 交感神経と副交感神経の作用の覚え方は、個体にとって緊急時が交感神経、リラックス時が副交感神経ということで理屈をつけるとよい。ライオンに襲われた時は、急いで逃げなければならない。そのためには手足の骨格筋を活発に動かさなければならない。そのためには、酸素をたくさん含んだ血液を筋肉に送らなければならない。そのためには、心拍数を挙げ、血圧を上げ、心拍出量を増やさなければならない。そして、肺ではたくさんの空気を肺胞に取り入れなければならない。よって、交感神経は、気管支平滑筋を弛緩させることにより、気管支を拡張する。

(3)× 血中二酸化炭素分圧の上昇は、ヘモグロビンの酸素結合能力を低下させる。
 ヘモグロビンは、酸素を肺で受け取り、組織で放出する。よって、肺では、酸素結合能が上昇し、組織では酸素結合能が低下しなければならない。肺では、外気は入るので血液の温度は低下する。そしてCO2が排泄されるので、CO2分圧は低下し、pHは上昇する。このような変化は、ヘモグロビンの酸素結合能を上昇させる。一方、組織では、体の内部なので血液の温度は上昇する。組織からCO2が産生されるので、CO2分圧は上昇し、pHは低下する。このような変化は、ヘモグロビンの酸素結合能を低下させる。

(4)〇 二酸化炭素は、血液中で重炭酸イオン(HCO3-)になる。
 血液中の二酸化炭素は、5%が物理的に水に溶解し、5%がヘモグロビンと結合し、90%がHCO3-として運搬される。二酸化炭素(CO2)と水(H2O)から炭酸(H2CO3)ができて、水素イオン(H+)と重炭酸イオン(HCO3-)に解離する。CO2とH2OからH2CO3を生成する反応は、赤血球内にある炭酸脱水素酵素が行う。炭酸は弱酸なので、部分的に解離することにより、酸塩基平衡においてpHを一定に保つ緩衝作用を有する。

(5)× 1秒量とは、最大吸気位から最初の1秒間に排泄できる呼気量である。
 最大吸気位から最大呼気位まで最大の速度で吐き出した時の空気の量を努力肺活量という。努力肺活量の最初の1秒間に排泄する呼気量を1秒量という。1秒量が、肺活量に占める割合を1秒率という。気管支に閉塞があると、肺胞内の空気を押し出すのに時間がかかる。よって、1秒量は、減少する。

正解(4)
# by kanri-kokushi | 2015-01-27 16:55 | 第28回国家試験 | Comments(0)

28-42 神経疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)くも膜下出血は、脳実質内の出血である。
(2)ラクナ梗塞(穿通枝梗塞)は、太い血管に生じる脳梗塞である。
(3)アテローム血栓性脳梗塞は、細動脈の変性によって生じる。
(4)ウェルニッケ脳症は、ビタミンB12欠乏でみられる。
(5)パーキンソン病では、脳内のドーパミンが欠乏している。

(1)× くも膜下出血は、脳の表面のクモ膜下腔で起こる出血である。
 脳の実質と、それを囲む頭蓋骨の間には、髄膜が存在する。髄膜は、頭蓋骨側から硬膜、クモ膜、軟膜の三層で構成されている。軟膜の下には、脳の実質が存在する。クモ膜と軟膜の間の空間をクモ膜下腔という。クモ膜下腔は、脳脊髄液で満たされている。また、脳の表面を走行する血管もある。その血管に、動脈瘤ができて、破裂したものが、くも膜下出血である。

(2)× ラクナ梗塞(穿通枝梗塞)は、細い血管に生じる脳梗塞である。
 ラクナ梗塞は、脳内の深部穿痛動脈の閉塞による脳梗塞で、直径15㎜未満の小梗塞巣が認められる。睡眠中、朝覚醒時、安静時に発症することが多い。発生部位により感覚障害、運動麻痺が出現するが、意識障害が出現することはない。症状がなく、CT検査で偶然見つかることも多い。

(3)× アテローム血栓性脳梗塞は、太い動脈の変性によって生じる。
 アテローム血栓性脳梗塞は、脳動脈の粥状硬化巣に血栓が形成されて発症する。ふらつき、しびれ、など一過性脳虚血発作(数分)の前駆症状があることが多い。睡眠中、朝覚醒時、安静時に発症することが多い。閉塞部位により片麻痺など脳局所症候を示す。意識障害は軽いことが多い。

(4)× ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1欠乏でみられる。
 ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1欠乏が原因で、眼球運動障害、失調性歩行、意識障害の三主徴が出現する。

(5)〇 パーキンソン病では、脳内のドーパミンが欠乏している。
 パーキンソン病の原因は、中脳黒質のドーパミン神経細胞の消失である。ドーパミン神経細胞の消失により、軸索の投射部位である線条体のドーパミン含有量が低下することが、パーキンソン病の症状に関係している。パーキンソン病の4大症状は、①安静時振戦、②無動、③筋固縮、④姿勢反射障害である。安静時振戦とは、安静にしているときに手指や足が細かく震える不随意運動ことをいう。症状は、片側の上肢または下肢から始まり、徐々に進行して両側性になる。随意運動によりふるえは減弱する。無動は、動作減少、動作緩慢、小声、小書字、瞬き減少、寝返り減少、仮面様顔貌、流涎(唾液の嚥下現症による)などが出現する。筋固縮は、腕の関節を伸展・屈曲するときにガクガクガクと断続的な抵抗を感じる歯車様固縮が特徴である。姿勢反射障害は、前屈姿勢、突進現象、小刻み歩行、加速歩行(festinating gait)が特徴である。その他、自律神経障害として、脂漏性顔貌、便秘、発汗が出現する。精神症状としては、うつ傾向、認知症が出現する。

正解(5)
# by kanri-kokushi | 2015-01-26 16:12 | 第28回国家試験 | Comments(0)