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28-41 自己免疫異常によって起こる内分泌疾患である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)パセドウ病
(2)原発性アルドステロン症
(3)褐色細胞腫
(4)クッシング症候群
(5)先端巨大症

(1)〇 パセドウ病は、甲状腺のTSH受容体に対する自己抗体が出現する自己免疫疾患である。
 バセドウ病は、甲状腺によるホルモンの合成・分泌が亢進するために血液中の甲状腺ホルモン濃度が上昇し、過剰なホルモンによる特徴的な臨床症状を呈する。20~50歳代の女性に多い。三大症状(Merseburgの三徴)は、甲状腺腫大、眼球突出、心悸亢進である。

(2)× 原発性アルドステロン症の原因は、一側の良性腫瘍(80~90%)が多く、両側の過形成(10~20%)のこともある。
 副腎皮質からアルドステロンが過剰に分泌されて、高血圧、低K血症、代謝性アルカローシスなどが出現する。30~50歳代の女性に多い。

(3)× 褐色細胞腫は、副腎髄質の細胞(交感神経節後ニューロン由来)から発生した腫瘍である。
 主な症状は、過剰なカテコールアミンの作用による高血圧、高血糖、代謝亢進、頭痛、発汗過多である。診断は、尿中・血中カテコールアミンおよびその代謝産物を測定して行う。代謝産物には、アドレナリン、ノルアドレナリン、メタネフリン、バニリルマンデル酸(VMA)がある。

(4)× クッシング症候群の原因は、副腎の過形成または腺腫による糖質コルチコイド過剰産生である。
 クッシング症候群では、慢性の糖質コルチコイド過剰分泌により、中心性肥満、高血圧、低K血症、代謝性アルカローシスなどが出現する。20~40歳代の女性に多い。下垂体のACTH過剰分泌が原因である場合をクッシング病という。クッシング病の80~90%は、下垂体のACTH産生腺腫が原因である。

(5)× 先端巨大症の原因は、下垂体の成長ホルモン産生腫瘍である。
 先端巨大症は、骨端線閉鎖後に下垂体から成長ホルモンが過剰に分泌されて、手足末端の肥大や顔貌の変化、糖尿病、心肥大などが出現する。男女は、1:1である。

正解(1)
# by kanri-kokushi | 2015-01-26 14:38 | 第28回国家試験 | Comments(0)

28-40 内分泌器官と分泌ホルモンの組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)下垂体前葉 - パソプレシン
(2)下垂体後葉 - 成長ホルモン(GH)
(3)甲状腺 - チロキシン
(4)副腎皮質 - アドレナリン
(5)副腎髄質 - コルチゾール

(1)× 下垂体後葉 - パソプレシン
 バソプレシンは、下垂体後葉から分泌されるホルモンである。①血漿浸透圧の上昇、②体液量の減少、③痛みや精神的なストレス、④外傷などが刺激となって分泌される。バソプレシンは、腎臓の集合管の水の透過性を亢進させることにより、水の再吸収を促進して尿量を減少させる。抗利尿ホルモン(antidiuretic hormone, ADH)ともいう。

(2)× 下垂体前葉 - 成長ホルモン(GH)
 成長ホルモンGH(growth hormone)は、下垂体前葉から分泌されるホルモンである。骨端軟骨の増殖促進作用、体内のたんぱく質同化促進作用などがあり、体の成長を促進する。また、肝臓のグリコーゲン分解とグルコース放出を増加させることにより、血糖値を上昇させる。

(3)〇 甲状腺 - チロキシン
 チロキシンは、甲状腺から分泌されるホルモンである。甲状腺ホルモンの主な作用は、①代謝亢進による熱産生量増加、②身体の成長や知能の発育促進、③腸管の糖吸収促進による血糖値上昇、④肝臓でのLDL受容体発現増加によるコレステロール取り込み促進、血清コレステロール低下、⑤交感神経活動の亢進、⑥筋肉たんぱく質の分解促進である。下垂体前葉から分泌される甲状腺刺激ホルモンは、チロキシンの分泌を促進する。チロキシンは、甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑制するフィードバック調節を行う。

(4)× 副腎髄質 - アドレナリン
 アドレナリンは、副腎髄質から分泌されるホルモンである。副腎髄質は、交感神経の節後神経細胞から発生(外胚葉由来)したもので、交感神経の緊張により分泌が促進される。副腎髄質から分泌されるホルモンは、アドレナリンが85%を占め、残りの15%はノルアドレナリンである。

(5)× 副腎皮質 - コルチゾール
 コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンである。下垂体前葉から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の作用により、束状帯細胞から分泌される。副腎皮質では、他に、球状帯からアルドステロンが、網状帯から副腎アンドロゲンが分泌される。

正解(3)
# by kanri-kokushi | 2015-01-23 17:29 | 第28回国家試験 | Comments(0)

28-39 腎・尿路系の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)血液中の赤血球は、糸球体でろ過される。
(2)心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、ナトリウムの排泄を促進する。
(3)尿細管で再吸収される原尿は、糸球体でろ過された量の約1%である。
(4)エリスロポエチンは、カルシウムの再吸収を促進する。
(5)レニンは、尿管から分泌される。

(1)× 血液中の赤血球は、糸球体でろ過されない。
 糸球体は、毛細血管を形成する内皮細胞と基底膜、およびその外側の足細胞(被蓋細胞)からなる。血管内皮細胞と足細胞はコラーゲンでできた薄い基底膜を挟んで向き合っている。この基底膜を介して血液からボウマン嚢内へ血液の濾過が起こる。水、グルコース、アミノ酸、クレアチニン、尿素、電解質などの小分子は、基底膜を自由に通過することができるが、たんぱく質など大きな分子や血球は通過することができない。これを限外濾過という。ただし、β2ミクログロブリン(HLAクラスⅠのL鎖、HLA(human leukocyte antigen)は、ヒト白血球の抗原)は、分子量が小さいので糸球体を自由に通過し、近位尿細管でほぼ100%再吸収される。よって、糸球体機能が障害されると、血中β2ミクログロブリン濃度が上昇し、尿細管機能が障害されると、β2ミクログロブリンの尿中排泄が増加する。

(2)〇 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、ナトリウムの排泄を促進する。
 心房性Na利尿ペプチド(ANP)は、体液量が増加すると、右心房から分泌されるホルモンである。ANPは、アルドステロンの作用に拮抗してNa-Kポンプの活性を抑制する。その結果、集合管からのNa再吸収を抑制することにより、浸透圧利尿を引き起こして体液量を減少させる。

(3)× 尿細管で再吸収される原尿は、糸球体でろ過された量の約99%である。
 濾過と再吸収の数字について、以下のように覚えておこう。1日の尿量は、約1.5ℓ/日である。糸球体で濾過された水の1%が尿として排泄されるので、糸球体濾過量は、150ℓ/日である。糸球体に入った血液の10%が濾過されるので、腎血流は、1,500ℓ/日である。

(4)× エリスロポエチンは、骨髄に働いて赤血球の産生を促進する。カルシウムの再吸収を促進するのは、副甲状腺ホルモンである。
 腎臓の内分泌機能として、3つ覚えておこう。①レニン、②エリスロポイエチン、③ビタミンDである。レニンは、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系によって体液量を調節する。エリスロポイエチンは、低酸素が刺激となって分泌され、赤血球を増加させる。マラソン選手が高地トレーニングをするのは、エリスロポイエチンの分泌を促進するためである。赤血球の寿命は120日あるので、低値の戻っても、しばらくは赤血球が増加した状態が続くので、持久力が高まるのである。体内で産生されたビタミンD3(コレカルシフェロール)または食品由来のビタミンD2(エルゴカルシフェロール)は、肝臓で25位が水酸化され25-OHビタミンDとなり、続いて腎臓で1位が水酸化され活性型の1,25-OHビタミンDとなる。活性型ビタミンDは、小腸からのCa吸収を促進する。

(5)× レニンは、傍糸球体装置から分泌される。
 腎臓の血流が減少すると、傍糸球体細胞(傍糸球体装置)からレニンが分泌され、血液中を流れるアンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンⅠに変換する。

正解(2)
# by kanri-kokushi | 2015-01-23 17:10 | 第28回国家試験 | Comments(0)

28-38 循環器系の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)心拍出量は、成人で安静時に約5ℓ/分である。
(2)肺動脈を流れる血液は、動脈血である。
(3)左心室の壁厚は、右心室の壁厚よりも薄い。
(4)副交感神経の興奮により、心拍数は増加する。
(5)血圧が上昇すると、レニンの分泌が増加する。

(1)〇 心拍出量は、成人で安静時に約5ℓ/分である。
 1回の拍動により左心室から拍出される血液量を、1回心拍出量という。成人男子では、約70㎖である。左心室が拡張したときの体積を、一辺約4㎝の立方体を想像してみよう。一分間で拍出される血液量を毎分心拍出量といい、1回心拍出量×心拍数で求めることができる。心拍数を70回/分とすると、毎分心拍出量は、70㎖×70回/分=4900㎖/分で、約5ℓ/分になる。ちなみに、心拍数が増加すると、心室に十分な血液が充満する前に収縮が始まるので、1回心拍出量は減少する。

(2)× 肺動脈を流れる血液は、静脈血である。
 まずは定義から。心臓から出る血管を動脈という。心臓に返ってくる血管を静脈という。よって、心臓から肺に行く血管は、肺動脈である。肺から心臓に返ってくる血管は、肺静脈である。次に、酸素を多く含む血液は、動脈血である。酸素を組織に放出した後の血液は静脈血である。肺動脈は、全身から帰ってきた静脈血を肺に送る。肺で酸素と結合した動脈血は、肺静脈によって心臓に帰る。

(3)× 左心室の壁厚は、右心室の壁厚よりも厚い。
 血液は、動脈を静脈の血圧の差によって、圧力の高いところから低いところへ流れる。肺循環は、心臓から同じ高さにあり、肺動脈から肺静脈への距離も短いことから、肺動脈圧はそれほど高くなくてもよい。一方、体循環は、頭のてっぺんから足の先まで全身に血液を送る必要があることから、大動脈圧はかなり高くなる。実際の肺動脈圧は、大動脈圧の1/5である。血圧が高くなれば、それだけ大動脈の壁厚も左心室の壁厚も厚くなるのは当然である。

(4)× 副交感神経の興奮により、心拍数は減少する。
 正常な心臓では、洞房結節が心拍のペースメーカーになっている。洞房結節では、周期的な活動電位が発生している。活動電位は発生する前の電位を前電位といい、前電位の勾配と深さが心拍数を決める要因になっている。交感神経は、洞房結節、房室結節、脚、プルキンエ線維、心筋に分布している。交感神経は、前電位の勾配を急峻にすることにより、心拍数を増加させる。さらに、交感神経は、刺激伝導速度を速くし、心筋の収縮力を強くする。一方、副交感神経(迷走神経)は、洞房結節と房室結節だけに分布している。副交感神経は、前電位の勾配を緩やかにし、さらに過分極にすることにより心拍数を減少させる。

(5)× 血圧が上昇すると、レニンの分泌が減少する。
 レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系をまとめておこう。①血圧が低下すると、腎臓の血流が減少する。②腎臓の血流が減少すると、傍糸球体細胞(傍糸球体装置)からレニンが分泌される。③レニンは、アンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンⅠに変換する。アンギオテンシノーゲンは453個アミノ酸からなるたんぱく質で、主に肝臓で合成される。レニンは、アンギオテンシノーゲンのN端を切り離して、10個のアミン酸からなるアンギオテンシノーゲンⅠを生成する。アンギオテンシンⅠには生理活性はない。④アンギオテンシン変換酵素(ACE、angiotensin converting enzyme)は、アンギオテンシンⅠをアンギオテンシンⅡに変換する。アンギオテンシン変換酵素は、アンギオテンシンⅠのC端の2つのアミノ酸を切り離して、8個のアミノ酸からなるアンギオテンシンⅡを生成する。⑤アンギオテンシンⅡは、血管を収縮させて、血圧を上昇させる。⑥アンギオテンシンⅡは、副腎皮質に働いて、アルドステロンを分泌させる。⑦アルドステロンは、腎臓(集合管)に働いて、Naの再吸収を促進する。⑧Naの再吸収が促進すると、体液量が増加して、血圧が上昇する。

正解(1)
# by kanri-kokushi | 2015-01-23 16:45 | 第28回国家試験 | Comments(0)

28-37 炎症性腸疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)クローン病は、50歳代に好発する。
(2)クローン病は、S状結腸に好発する。
(3)クローン病の活動期では、食物繊維の摂取を勧める。
(4)潰傷性大腸炎の患者数は、クローン病より少ない。
(5)潰傷性大腸炎は、大腸がんのリスク因子である。

(1)× クローン病は、10~20歳代に好発する。
 クローン病は、原因不明の消化管の肉芽腫性炎症性疾患である。慢性に経過し、寛解と再燃を繰り返しつつ、徐々に進行する。10~20歳代の男性に好発する。男女比は2~3:1である。
 一方、潰瘍性大腸炎は、原因不明の大腸粘膜のびまん性非特異性炎症性疾患である。慢性に経過し、寛解と再燃を繰り返す。20~30歳台に多いが、小児や50歳以上にも見られる。男女比は1:1である。

(2)× クローン病は、回盲部、肛門、丈夫消化管に好発する。
 クローン病の病変は、区域性で単発あるいは多発する。口腔から肛門までいずれの部位でも起こりえるが、回盲部(約50%)、結腸、直腸、肛門(35%)、小腸、上部消化管(15%)が多い。
 一方、潰瘍性大腸炎の病変は、主として粘膜と粘膜下層を侵し、びらん・潰瘍を形成する。直腸に始まり、連続性に大腸粘膜を侵し、大腸全体にびらんや潰瘍を形成する。直腸炎型(35.6%)、左側大腸炎型(27.8%)、全大腸炎型(36.6%)であり、右側のみや区域性はまれである。

(3)× クローン病の活動期では、経腸栄養(成分栄養)または中心静脈栄養を行う。
 クローン病の活動期では、経腸栄養(成分栄養)または中心静脈栄養により寛解導入を試みる。寛解導入後は、すぐに普通の経口食に戻すと高率に再発するので、在宅経腸成分栄養(自己挿管法)を行うのが原則である。その後、再燃しないことを確かめながら少しずつ経口食に移行する。成分栄養、半消化態栄養、経口食(低脂肪、低残渣食)を組み合わせる比率を症状に合わせて変化させることをスライド方式という。経口食では、高エネルギー食(35~40kcal/㎏/日)とし、低栄養を予防するため消化吸収のよいものを選ぶ。摂取カロリーの不足は再発を促進する。食餌性抗原の負荷軽減のため低たんぱく質・低脂肪食(20ℊ/日以下)とする。ただし、魚類のたんぱく質と脂質は問題が少ないので推奨される。抗炎症作用を期待して、n-3系脂肪酸摂取の比率を増やす。食物繊維は、腸管に狭窄があると腸閉塞を起こす可能性があるので、10ℊ/日以下に制限する。牛乳、乳製品は、乳糖不耐症を合併していることが多いので、原則として禁止する。

(4)× 潰傷性大腸炎の患者数は、クローン病より少ない。
 潰瘍性大腸炎は、昭和50年、厚生省の特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定された。登録患者数は昭和50年には965人であったが、平成25年で約155,116人となっている。クローン病は、昭和51年、厚生省の特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定された。登録患者数は昭和51年には128人であったが、平成25年で約38,271人となっている。

(5)〇 潰傷性大腸炎は、大腸がんのリスク因子である。
 炎症による粘膜の破壊と再生の繰り返しは、遺伝子の複製ミスを誘発し、癌遺伝子を活性化させる可能性が高くなるので、大腸がんが発生するリスクは高い。
 クローン病と潰瘍性大腸に関する解説や各種データは、「難病情報センター」のホームページに詳しく掲載されているので、一度見てみよう。

正解(5)
# by kanri-kokushi | 2015-01-23 14:56 | 第28回国家試験 | Comments(0)