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臨床栄養学

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22-127 経腸栄養剤に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)1kcal/㎖濃度の経腸栄養剤100㎖の水分含有量は、60㎖である。
(2)消化態栄養剤の窒素源は、たんぱく質である。
(3)成分栄養剤の長期投与では、必須脂肪酸欠乏症が発生する。
(4)肝不全用経腸栄養剤には、分枝(分岐鎖)アミノ酸が含まれない。
(5)腎不全用経腸栄養剤の特徴は、高エネルギー・高たんぱく質である。

(1)× 1kcal/㎖濃度の経腸栄養剤100㎖の水分含有量は、80~85㎖である。

(2)× 消化態栄養剤の窒素源は、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチドであり、たんぱく質を含まない。
 成分栄養剤の窒素源は、結晶アミノ酸である。半消化態栄養剤と濃厚流動食の窒素源は、たんぱく質である。

(3)〇 成分栄養剤の長期投与では、必須脂肪酸欠乏症が発生する。
 成分栄養剤の脂肪含有量は、エネルギー比で1.5~8.1%である。このため必須脂肪酸の欠乏を予防するために脂肪乳剤を併用する必要がある。

(4)× 肝不全用経腸栄養剤には、分枝(分岐鎖)アミノ酸を多く含んでいる。
 芳香族アミノ酸は、主に肝臓に取り込まれ代謝される。分枝アミノ酸は、主に骨格筋に取り込まれ代謝される。肝不全では、肝機能が低下するため、血中芳香族アミノ酸濃度が上昇する。一方、門脈圧亢進により、膵臓から分泌されたインスリンが肝臓を経由せずに全身に流れるため、高インスリン血症になる。その結果、骨格筋での分岐鎖アミノ酸の取り込みが増加するので血中分枝アミノ酸濃度は低下する。分枝アミノ酸濃度と芳香族アミノ酸濃度の比を、フィッシャー比という。肝不全では、フィッシャー比が低下する。その結果、脳内へ移行するアミノ酸のバランスが崩れることをアミノ酸インバランスという。アミノ酸インバランスは、肝性脳症の原因になる。肝不全用経腸栄養剤は、フィッシャー比の低下を補正するために、分枝アミノ酸を多く含んでいる。

(5)× 腎不全用経腸栄養剤の特徴は、高エネルギー・高たんぱく質である。
 腎不全では、窒素代謝産物の排泄が障害され、尿毒症になる。これを予防し、たんぱく質の利用効率を上げるために、高エネルギー・低たんぱく質とする。

正解(3)
# by kanri-kokushi | 2014-02-19 11:25 | 第22回国家試験 | Comments(0)

臨床栄養学

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22-126 栄養補給についての記述である。正しいものの組合せはどれか。
a たんぱく質0.6ℊ/標準体重㎏は、低たんぱく質食である。
b 腎不全急性期の食事では、非たんぱく質エネルギーと窒素の比を150とする。
c 濃厚流動食は、10kcal/㎖濃度の投与が可能である。
d 成分栄養剤の浸透圧は、半消化態栄養剤より高い。
(1)aとb(2)aとc(3)aとd(4)bとc(5)cとd

a〇 たんぱく質0.6ℊ/標準体重㎏は、低たんぱく質食である。
 標準的なたんぱく質摂取量は、1.0~1.2 ℊ/標準体重㎏である。保存期慢性腎不全では、0.6ℊ/標準体重㎏の低たんぱく食とする。

b× 腎不全急性期の食事では、非たんぱく質エネルギーと窒素の比を300~500とする。
 たんぱく質の利用効率は、摂取エネルギー量に依存する。体内のたんぱく質合成は、非たんぱくエネルギー/窒素比(NPC/N)が150~200のときに、もっとも効率が良くなる。腎不全でたんぱく質制限が必要な場合は、NPC/N比を300~500とする。外科領域では、たんぱく質必要量が増加するために、NPC/N比を100~150とする。

c× 濃厚流動食は、1~2kcal/㎖濃度の投与が可能である。
 1kcal/㎖が基準となるが、水分制限が必要な場合は、2kcal/㎖まで投与可能である。

d〇 成分栄養剤の浸透圧は、半消化態栄養剤より高い。
 半透膜を介して2種類の濃度の溶液が接している場合、水は濃度が低い方から高い方へ移動する。この圧力が浸透圧である。浸透圧は、水に溶解している溶質の種類ではなく、溶け込んでいる溶質の数によって決まる。溶質の数が多ければ多いほど、浸透圧は高くなる。成分栄養剤の窒素源は、結晶アミノ酸であり、半消化態栄養剤の窒素源はペプチドである。1つのアミノ酸も、1本のペプチドも、溶質の数としては同じ1分子である。ペプチドは、複数のアミノ酸が一列につながったものなので、成分栄養剤の方が溶け込んでいる溶質の数が多い。よって、浸透圧は高くなる。

正解(3)
# by kanri-kokushi | 2014-02-17 16:51 | 第22回国家試験 | Comments(0)

臨床栄養学

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22-125 傷病者に対する栄養ケアプランに関する記述である。誤っているのはどれか。
(1)問題解決が可能な目標を設定する。
(2)目標は短期目標と長期目標に区分する。
(3)経済的問題については、医療ソーシャルワーカーと連携する。
(4)アウトカム評価後にスクリーニングを行う。
(5)対象者へのインフォームドコンセントを行う。

(1)〇 問題解決が可能な目標を設定する。
 当たり前。達成できない目標を設定しても意味がない。

(2)〇 目標は短期目標と長期目標に区分する。
 長期目標は、対象者の現在の課題やニーズに対応して、将来的にどのようになっていたいかを具体的に設定する。例えば、現在「一人で歩くことができない」という課題があれば、「6か月後には、一人で歩くことができるようになる」などが長期目標になる。一般に、3~6か月で設定することが多い。短期目標は、長期目標を達成するために必要な工程を分解した小さなステップを設定する。例えば、「1か月後には、つえを使って立ち上がることができる」などである。一般に、1か月以内で設定することが多い。

(3)〇 経済的問題については、医療ソーシャルワーカーと連携する。
 多職種連携である。

(4)× 最初にスクリーニングを、最後にアウトカム評価を行う。
 ケアプランは、①スクリーニング→②アセスメント→③ケアプラン作成→④ケア実施→⑤モニタリング→⑥アウトカム評価、の順番で行う。

(5)〇 対象者へのインフォームドコンセントを行う。
 患者個人の尊厳や自己決定権を尊重することは、医療従事者の義務である。インフォームドコンセントとは、情報を受けたうえで同意することである。ケアプランを実施する場合も、何のために、何を、どのように行い、どのような効果が期待され、どのようなリスクがあるのかという情報を、患者と家族に十分に説明し、同意を得たうえで実施しなければならない。

正解(4)
# by kanri-kokushi | 2014-02-17 16:25 | 第22回国家試験 | Comments(0)

臨床栄養学

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22-124 電解質異常とそれらの原因となる病態との関係である。正しいものの組合せはどれか。
a 低カリウム血症 - 原発性アルドステロン症
b 高ナトリウム血症 - 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
c 高カルシウム血症 - 原発性副甲状腺機能亢進症
d 高カリウム血症 - 下痢による腸液喪失
(1)aとb(2)aとc(3)aとd(4)bとc(5)cとd

a〇 低カリウム血症 - 原発性アルドステロン症
 原発性アルドステロン症は、副腎皮質からアルドステロンが過剰に分泌されて、高血圧、低K血症、代謝性アルカローシスなどが出現する疾患である。アルドステロンが過剰に分泌される原因として一側の良性腫瘍(80~90%)が多く、両側の過形成(10~20%)のこともある。アルドステロンは、腎臓の集合管で、Naの再吸収とK排泄を促進するので、低K血症になる。

b× 低ナトリウム血症 - 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH, syndrome of inappropriate secretion of ADH)は、下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモンの分泌亢進により、体内に水が過剰貯留する病態である。抗利尿ホルモンは、腎臓の集合管に働いて、水の再吸収を促進するので、低Na血症が出現する。

c〇 高カルシウム血症 - 原発性副甲状腺機能亢進症
 副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモン(パラソルモン)は、①骨吸収を促進して、骨からのCa動員を増加させる、②腎臓に働いてビタミンDの活性化を促進することにより、小腸でのCaの吸収を促進する。③腎臓の尿細管に働いてCaの再吸収を促進する、の3つの作用により、血清Ca濃度を上昇させる。

d× 低カリウム血症 - 下痢による腸液喪失
 腸液には、Kが含まれている。下痢により、体外へ失われるK量が増加するので、低K血症になる。

正解(2)
# by kanri-kokushi | 2014-01-23 14:25 | 第22回国家試験 | Comments(0)

臨床栄養学

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22-123 傷病者の栄養管理に関する記述である。正しいものの組合せはどれか。
a 静脈栄養時のカルシウム投与量は、経腸栄養時の1.5倍とする。
b たんぱく質投与量が多い場合、ビタミンB6の必要量が多くなる。
c ハリス-ベネディクト(Harris-Benedict)の式により、基礎エネルギー消費量を算出することができる。
d 重症熱傷時には、非たんぱく質エネルギーと窒素の比は、非侵襲時より高くする。
(1)aとb(2)aとc(3)aとd(4)bとc(5)cとd

a× 静脈栄養時のカルシウム投与量は、経腸栄養時と同じである。
 カルシウムの投与量は、経腸栄養時であっても、静脈栄養時であっても、「日本人の食事摂取基準」の推奨量を基本に算出する。静脈栄養時と経腸栄養時で必要量が大きく異なるのは、ビタミンB1である。ビタミンB1の推奨量は1.0~1.5㎎/日程度であるが、静脈栄養時は、乳酸アシドーシスを予防するために3㎎/日を投与する必要がある。

b〇 たんぱく質投与量が多い場合、ビタミンB6の必要量が多くなる。
 ビタミンB6は、ピリドキサルリン酸として、アミノ酸代謝(アミノ基転移反応や脱炭酸反応)の補酵素そして働く。よって、たんぱく質投与量が増加すると、ビタミンB6必要量も増加する。

c〇 ハリス-ベネディクト(Harris-Benedict)の式により、基礎エネルギー消費量を算出することができる。
 投与エネルギー量は、基礎代謝量×活動係数(Active factor)×ストレス係数(Stress factor)で算出する。

d× 重症熱傷時には、非たんぱく質エネルギーと窒素の比は、非侵襲時より低くする。
 たんぱく質合成は、非たんぱくエネルギー/窒素比(NPC/N)が150~200のときにもっとも効率が良い。たんぱく質必要量は、投与エネルギー÷C/N×6.25(ℊ/日)で算出する。投与エネルギーを2000kcal、NPC/N比を175とすると、2000÷175×6.25=71.4ℊになる。腎不全でたんぱく質制限が必要な場合は、NPC/N比を300~500とする。重症熱傷時や外科領域など、組織修復のためにたんぱく質必要量が増加している場合は、NPC/N比を100~150とする。

正解(4)
# by kanri-kokushi | 2014-01-22 17:38 | 第22回国家試験 | Comments(0)