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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

23-33 ナトリウム欠乏性脱水に関する記述である。正しいのはどれか。

(1)高張性脱水になる。
(2)細胞内液量が減少する。
(3)脳浮腫を起こす。
(4)水の補給により改善される。
(5)尿崩症患者でみられる。

 脱水とは、体内の水分が不足した状態をいう。体内の水分が失われるときに、水とナトリウム(Na)が失われる割合は状況によって異なる。水分の喪失に比べて、Naの喪失が少ない場合を水欠乏性脱水という。水分の喪失に比べてNaの喪失が多い場合をNa欠乏性脱水という。体液と同じ濃度で喪失する場合を混合性脱水(等張性脱水)という。

(1)× Na欠乏型脱水では、体内の水分に対して、Na量が少ないので低Na血症になる。Naは細胞外液の浸透圧を決めているので、細胞外液は低張になる。よって、Na欠乏性脱水では低張性脱水になる。ちなみに、水欠乏性脱水では、高張性脱水になる。

(2)× 低張性脱水ということは、細胞内液に対して、細胞外液の浸透圧が低いということである。すると、水が細胞外から細胞内へ移動する。それでなくても細胞外液が不足している状態で、細胞外液が細胞内に移動すると、循環血漿量が減少し、循環障害を起こす可能性が高くなる。一方、水欠乏性脱水(高張性脱水)では、水が細胞内から細胞外へ移動する。その結果、循環血漿量は保たれるので循環障害は起こしにくい。細胞内の水が不足するのが心配だが、細胞内液は細胞外液の2倍あるので被害は少なくてすむ。もちろん、重症の高張性脱水になれば、無視できなくなる。

(3)○ (2)の通り、細胞内に水が移動する。脳の神経細胞にも水が入り込んでくる。そのため脳が膨らんだ状態を脳浮腫という。

(4)× Na欠乏性脱水の患者に水分補給を行うと、細胞外液の浸透圧はますます低下し、症状を悪化させることになる。よって、等張液あるいは高張液の輸液を行う必要がある。

(5)× 尿崩症とは、何らかの原因で下垂体後葉からバソプレシンが分泌されない疾患である。バソプレシンは水の再吸収を促進するホルモンである。そのため、尿崩症では、Naの再吸収は正常だが、尿の濃縮ができなくなるので、大量の水分が尿中に失われて水欠乏性脱水になる。

正解(3)
by kanri-kokushi | 2009-07-29 14:12 | 第23回国家試験 | Comments(0)