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解剖生理学

19-82.筋系についての記述である。正しいのはどれか。
(1)骨格筋には顕微鏡で見て横紋構造が認められる。
(2)心筋は平滑筋から構成されている。
(3)平滑筋には筋原線維がない。
(4)消化管の蠕動運動を行うのは横紋筋である。
(5)内肛門括約筋は横紋筋であり、外肛門括約筋は平滑筋である。


問題を解く前に、筋系について基本的なことを確認しておこう。

1.筋肉細胞の内部には筋原線維というものがあって、これが、筋肉が収縮する本体である。
2.筋原線維は太いミオシン細いアクチンが規則正しく並んだ構造で、ミオシンの上をアクチンが滑走することにより収縮が起こる。
3.この滑走には細胞質のCa濃度の上昇とATPの加水分解が関わっている。
4.筋原線維の並び方によって筋肉細胞は2種類に分類される。ひとつは筋原線維が規則正しく並んで、顕微鏡で見ると横紋構造がみえる横紋筋であり、もうひとつは筋原線維の並びがそれほど規則正しくないので横紋構造が見られない平滑筋である。
5.横紋筋は、自分の意思で動かすことができる骨格筋を構成している。ただし、例外として、自分の意思では動かすことができない心臓の筋肉も横紋筋でできている。その他、内臓の括約筋の一部にも横紋筋が使われている。心筋以外の横紋筋は脊髄神経の運動神経によって支配されている。心筋は自律神経が分布している。
6.平滑筋は、消化器、呼吸器、泌尿器などの内臓にあって、自分に意思で動かすことができない筋肉である。平滑筋には自律神経が分布して、その動きを調節している。

以上のことは、筋系の基本だからよく理解しておこう。横紋筋か平滑筋か迷うことがあるのが括約筋と呼ばれるものだ。括約筋は、胃や腸などの管状臓器において入口や出口を締め付けることにより内容物の通過を調節する筋肉だ。括約筋と呼ばれるものの多くは自分の意思では動かすことができない平滑筋だが、一部に横紋筋が分布している。横紋筋でできている括約筋として、次の3つを覚えておけばいいと思う。
①食道上部の括約筋
②外肛門括約筋
③外尿道括約筋
尿道も、肛門も反射だけで調節されると大変なことが起きるので、最終的な出口の部分だけは、やっぱり意思の力で締め付けておこうということだ。ちなみの食道下部の括約筋、内肛門括約筋、内尿道括約筋は平滑筋である。

よって、正解は(1)になる。
by kanri-kokushi | 2005-10-15 10:15 | 第19回国家試験 | Comments(0)