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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

25-21 リソソーム(lysosome)の機能に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)ATPの産生
(2)紡錘糸の形成
(3)たんぱく質の合成
(4)細胞内異物の処理
(5)ステロイドホルモンの合成

 さあ、来年に向けて、今年の国家試験問題を解こう。

 細胞小器官の問題である。主な細胞小器官の形、名前、役割を教科書で確認しておこう。

(1)× ATP(アデノシン三リン酸、adenosine triphosphate)を産生するのは、ミトコンドリアである。ミトコンドリアでは、内膜、外膜、クリステについて、教科書の図で確かめておこう。ついでに、ミトコンドリアには固有の環状DNAがあり、自己複製することも知っておこう。

(2)× 紡錘糸とは、細胞分裂のときに出現し、染色体を引っ張って2つに分ける役割を果たす。紡錘糸合成の中心になる細胞小器官は、中心体である。

(3)× たんぱく質を合成する細胞小器官は、リボソームである。リボソームは細胞質に存在するものと、小胞体に付着しているものがある。リボソームが付着した小胞体を粗面小胞体という。粗面小胞体では、ホルモンなど分泌たんぱく質や、細胞膜に存在するたんぱく質が合成される。

(4)〇 リソソームは、細胞内に種々の加水分解酵素を含んでいて、細胞内に取り込んだ異物や、細胞内の不要な物質を分解する。「リソ(lyso-)」とは、lysisのことで、溶解するという意味である。「ソーム(-some)」は体という意味である。よって、リソソームとは、物質を溶解する細胞小器官という意味である。

(5)× ステロイドホルモンは、コレステロールを原料として合成される。よって、水には溶けない脂質である。ステロイドホルモンなどの脂質は、滑面小胞体(リボソームが付着していない小胞体)で合成される。

正解(4)
by kanri-kokushi | 2011-03-29 14:08 | 第25回国家試験 | Comments(0)