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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

25-22 たんぱく質の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)インスリン受容体は、ホスファターゼ活性をもつ。
(2)プロインスリンは、1本のペプチド鎖からなる。
(3)IgGは、5量体である。
(4)筋収縮は、ミオシンの短縮によって起こる。
(5)アンギオテンシンⅡのペプチド鎖は、アンギオテンシンⅠより長い。

(1)× インスリン受容体は、2本のαサブユニットと2本のβサブユニットがS-S結
合でつながった構造をしている。αサブユニットは、2つとも完全に細胞外に出ている。2つのβサブユニットは細胞膜を、それぞれ1回だけ貫通している。教科書の図を見て確認しておこう。βサブユニットの細胞内部分にはチロシンキナーゼ活性があり、インスリンがαサブユニットに結合すると活性化され、基質となるたんぱく質のチロシン残基をリン酸化する。脱リン酸化を触媒するホスファターゼ活性は、持っていない。

(2)〇 インスリンの前駆体であるプロインスリンは、1本のペプチド鎖として粗面小胞体で合成される。その後、ゴルジ装置から分泌顆粒へ移動する間に、分子内に3か所S-S結合ができる。そして、2か所のペプチド結合が切断される。その結果、3本のペプチド(A鎖、B鎖、C鎖)が生成する。インスリンは、A鎖とB鎖がS-S結合でつながった構造をしている。C鎖はCペプチドとも呼ばれ、インスリンとともに血液中に分泌される。

(3)× 抗体の基本的な形は、2本のH鎖(heavy chain)と2本L鎖(light chain)からなるYの字に似た形をものである。教科書で確かめておこう。IgG、IgD、IgEは、このYの字が1つで存在している。IgAは、Yの字が2つくっついて、2量体である。IgMは、Yの字が5つくっついて、5量体である。IgMは、抗原が侵入したとき、最初に作られる抗体である。5量体なので、凝集・細胞溶解の効率が高い。

(4)× 筋収縮をつかさどる筋原線維は、アクチンが重合してできたアクチンフィラメントと、ミオシンが重合してできたミオシンフィラメントが、規則正しく並んでできている。筋収縮は、アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間に滑り込むことによって起こる。

(5)× アンギオテンシノーゲンは、1本のペプチド鎖である。これにレニンというペプチド結合を切断する酵素が働いてアンギオテンシンⅠができる。さらにアンギオテンシン変換酵素というペプチド結合を切断する酵素が働いてアンギオテンシンⅡができる。よって、アンギオテンシノーゲンが最も長く、アンギオテンシンⅡが最も短い。

正解(2)
by kanri-kokushi | 2011-03-29 14:34 | 第25回国家試験 | Comments(0)