人気ブログランキング | 話題のタグを見る

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

25-30 代謝性アシドーシスを示す病態とその機序に関する組合せである。正しいのはどれか。
(1)腎不全 - 重炭酸イオンの排泄障害
(2)1型糖尿病 - ケトン体の産生低下
(3)飢餓 - 血中二酸化炭素分圧の増加
(4)尿細管アシドーシス - 水素イオン(H+)の再吸収障害
(5)激しい運動 - 血中乳酸値の上昇

 体内の緩衝系として、炭酸-重炭酸塩緩衝系が重要である。
   H2CO3(炭酸) ⇔ H+ + HCO3-(重炭酸イオン)
 炭酸の濃度は、主に血液中のCO2濃度によって調節される。重炭酸イオンの濃度は、主に腎臓での排泄・再吸収によって調節される。
 体内での酸の産生が増加し、これを中和するための重炭酸イオンが消費されて起こるアシドーシスを、代謝性アシドーシスという。

(1)× 腎不全では、体内で発生した酸の排泄障害により体内の酸が増加する。これを中和するために重炭酸イオンが消費されて代謝性アシドーシスになる。

(2)× 1型糖尿病では、インスリン作用不足により、肝臓での解糖抑制、糖新生亢進の結果、脂肪酸の酸化が亢進して、ケトン体の産生が増加する。ケトン体であるアセト酢酸と3-ヒドロキシ酪酸は酸なので、これを中和するために重炭酸イオンが消費されて、代謝性アシドーシスになる。

(3)× 飢餓では、体内の異化が進み、酸が産生され、代謝性アシドーシスになる。すると呼吸が活発になり、肺からの二酸化炭素排泄を促進するので、血中二酸化炭素分圧は低下する。

(4)× 尿細管アシドーシスには、近位尿細管での重炭酸イオンを再吸収障害によるものと、遠位尿細管での水素イオンの排泄障害によるものの2種類がある。

(5)〇 激しい運動では、筋肉において相対的に酸素不足になり、解糖でできたピルビン酸がクエン酸回路に入ることができなくて、乳酸になる。乳酸は筋肉細胞から血液中にでて、代謝性アシドーシスを起こす。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2011-05-24 16:34 | 第25回国家試験 | Comments(0)