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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

25‐35 体脂肪量を増加させるホルモン・サイトカインである。正しいのはどれか。
(1)レプチン
(2)インスリン
(3)カテコールアミン
(4)アディポネクチン
(5)トリヨードチロニン(T3)

 ホルモンとサイトカインの違いを明確に説明するのは、難しい。一般に、ホルモンはある特定の分泌細胞から分泌され、血流によって運ばれ、別の場所にある標的細胞に作用する。サイトカインも同じように、ある細胞から分泌され、他の細胞に作用する。サイトカインは、免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質で、特定の細胞に情報伝達をするものをいうことが多いが、その概念は免疫細胞以外にも広がっている。例えば、脂肪細胞から分泌されるレプチンやアディポネクチンは、アディポサイトカインと呼ばれる。インスリン、カテコールアミン、トリヨードチロシンは、それぞれ膵臓B細胞、副腎髄質、甲状腺から分泌されるホルモンである。一般に、ホルモンは小分子であることが多く、サイトカインは分子量1万以上のペプチドであることが多い。

(1)× レプチンは、肥大した脂肪細胞から分泌されるサイトカインで、視床下部に働いて摂食量を減らす作用がある。また、消費エネルギーを増加させる作用もあるので、体脂肪量は減少する。

(2)〇 インスリンは、脂肪細胞において、リポタンパク質リパーゼを活性化し、ホルモン感受性リパーゼ活性を抑制する。その結果、体脂肪量が増加する。

(3)× カテコールアミンは、ドパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンの総称である。これらカテコールアミンは、脂肪細胞のホルモン感受性リパーゼを活性化し、体脂肪量を減少させる。

(4)× 脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインには、TNF-αやPAI-1など悪玉が多いが、アディポネクチンは善玉で、動脈硬化抑制作用やインスリン感受性改善作用がある。残念なことに、脂肪細胞が肥大すると分泌は減少する。インスリン感受性が良くなると体脂肪量が増えそうだが、筋肉に対しては脂肪の燃焼を促進する作用があるので、全全体としては、体脂肪量を減少させる。

(5)× 甲状腺ホルモンであるトリヨウドチロシンは基礎代謝を亢進させるので、脂肪細胞からの脂肪酸の動員が増加し、体脂肪量は減少する。

正解(2)
by kanri-kokushi | 2011-07-07 16:54 | 第25回国家試験 | Comments(0)