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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

25-46 巨赤芽球性貧血の検査所見に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)血清ビタミンB6値が、低下している。
(2)白血球数が、増加している。
(3)好中球の核の過分葉が、認められる。
(4)不飽和鉄結合能が、増加している。
(5)平均赤血球血色素量(MCH)が、低下している。

(1)× すべての血球は、多能性幹細胞から産生される。多能性幹細胞は、まずリンパ系細胞と骨髄球系細胞の2つの系統に分かれて増殖する。赤血球は、骨髄球系細胞から分かれる赤芽球から産生される。赤芽球は、骨髄の中で分裂を繰り返しながらヘモグロビンを合成し、最終的に核を失って網赤血球となって末梢血中に出てくる。網赤血球は、数日のうちに成熟した赤血球になる。末梢血中での赤血球の寿命は、約120日である。ビタミンB12または葉酸が欠乏するとUMP(ウリジル酸)からTMP(チミジル酸)への変換(チミジル酸合成酵素)が障害される。TMPはDNA合成の材料になるので、DNA合成が阻害されて赤芽球の分裂が遅れる。一方、UMPを利用するRNA合成は障害されないのでたんぱく質合成は継続する。その結果、骨髄中に巨赤芽球が出現する。巨赤芽球の多くは、赤血球に成熟することができず、骨髄内で崩壊するので、末梢血中の赤血球数が減少して貧血になる。これを無効造血という。ビタミンB6は、ヘムの材料を作るアミノレブリン酸合成酵素の補酵素である。ビタミンB6欠乏では、ヘモグロビンの合成が障害されるので、小球性低色素性貧血になる。

(2)× DNA合成は、白血球や血小板の産生にも必要なので、ビタミンB12欠乏による悪性貧血では、赤血球数、白血球数、血小板数がすべて減少する汎血球減少症が出現する。

(3)〇 成熟した好中球(分葉核好中球)の核は、正常でも2~4個に分葉している。ビタミンB12欠乏による悪性貧血では、核が5個以上に分葉する過分葉が出現する。

(4)× 不飽和鉄結合能が増加するのは、鉄欠乏性貧血である。

(5)× 平均赤血球血色素量(MCH)は、ヘモグロビン量を赤血球数で割って求める。MCHは、赤血球1個当たりのヘモグロビン量を表している。巨赤芽球性貧血では、ヘモグロビン合成は障害されないので、赤血球1個当たりのヘモグロビン量は増加している。

正解(3)
by kanri-kokushi | 2011-07-22 13:59 | 第25回国家試験 | Comments(0)